零班は落第寸前!――名門男子校は秘密のスパイ養成学校でした――

案内された大講堂は、学校っていうより古い音楽ホールみたいだった。高い天井、赤いじゅうたん、木の香りがする長椅子。壇上には校章、その下には校長が静かに立っていた。

笑っているのに、どこまで考えているのか全然わからない顔だった。

入学式は短かった。
短かったけど、普通じゃなかった。

「諸君。本校では学力だけでなく、観察、記憶、判断、節度、沈黙を学びます。特に口の軽さは、無知よりも害になります。学んだことを外でむやみに語らぬように」

俺は手帳から顔を上げた。

いや、今なんて?

でも周りの新入生は、少し目をしばたたかせただけで、誰も何も言わなかった。言える空気じゃない。校長はそのまま穏やかに笑って、「では、よい学園生活を」とだけ言った。