合格発表から二週間後、俺は大きめのトランクを引きずって、もう一度、鷹ノ宮学園の正門の前に立っていた。
石造りの門柱に、黒い鉄門。門の向こうにはまっすぐな並木道が伸びていて、その先に白い本校舎がどんと構えている。窓は左右ぴったり対称、屋根の上には古い時計塔、玄関前の芝生は定規で測ったみたいにそろっていた。
どう見ても名門だった。
それも、格式ありすぎる男子校だった。
「ほんとに入るんだねえ」
母さんがしみじみ言った。
「俺もまだ信じてないよ」
「当たっちゃったねえ」
「景品みたいに言うなって」
父さんは門の奥を見て感心したようにうなずいた。
「広いなあ。迷子になるぞ、直」
「縁起でもないこと言うなよ」
門の脇に立っていた案内係の上級生が、きっちり礼をした。
「新入生の有馬直さんですね。保護者の方は正門までです。ここから先は生徒のみでの行動となります」
「え、もう?」
母さんが目を丸くした。
「本校の規則です。記念撮影は正門の白線の外でお願いします」
ほんとに白線が引いてあった。
学校に「ここまで保護者」って線があるの、初めて見た。
母さんはあっさり線の外に下がった。
「じゃ、がんばって」
「軽いな!」
父さんはなぜか紙袋を差し出してきた。
「温泉まんじゅう。寮で配ると友達できるかも」
「作り方が雑なんだよ!」
案内係の先輩は表情ひとつ変えず、俺のトランクに札をつけた。
「荷物は寮まで運搬します。受付で学園手帳を受け取ったら、常に携行してください」
石造りの門柱に、黒い鉄門。門の向こうにはまっすぐな並木道が伸びていて、その先に白い本校舎がどんと構えている。窓は左右ぴったり対称、屋根の上には古い時計塔、玄関前の芝生は定規で測ったみたいにそろっていた。
どう見ても名門だった。
それも、格式ありすぎる男子校だった。
「ほんとに入るんだねえ」
母さんがしみじみ言った。
「俺もまだ信じてないよ」
「当たっちゃったねえ」
「景品みたいに言うなって」
父さんは門の奥を見て感心したようにうなずいた。
「広いなあ。迷子になるぞ、直」
「縁起でもないこと言うなよ」
門の脇に立っていた案内係の上級生が、きっちり礼をした。
「新入生の有馬直さんですね。保護者の方は正門までです。ここから先は生徒のみでの行動となります」
「え、もう?」
母さんが目を丸くした。
「本校の規則です。記念撮影は正門の白線の外でお願いします」
ほんとに白線が引いてあった。
学校に「ここまで保護者」って線があるの、初めて見た。
母さんはあっさり線の外に下がった。
「じゃ、がんばって」
「軽いな!」
父さんはなぜか紙袋を差し出してきた。
「温泉まんじゅう。寮で配ると友達できるかも」
「作り方が雑なんだよ!」
案内係の先輩は表情ひとつ変えず、俺のトランクに札をつけた。
「荷物は寮まで運搬します。受付で学園手帳を受け取ったら、常に携行してください」



