王子は姫を愛して止まない

けれど、悲しそうな顔をしているのではなくただ困惑しているようだった。

「え…でも…他にももっと…大切なこととか…人とか…」

冬の風が俺たちの隣を通りすぎた。

「俺が大切なのは姫乃だけ。何よりも誰よりもかけがえのない存在」

姫乃の瞳から大粒の涙が一滴溢れて俺の指にポタリとおちた。

「み、かぜ…くんっ…」

姫乃はこらえきれなくなったのかゆっくりと瞬きをしてたくさんの涙が溢れた。

突然俺にぎゅっと抱きついてくる。
弱々しくも強く、震えながら抱き締めてくる。