王子は姫を愛して止まない

簡単に姫乃のことをお母さんも大切にしているなんて言って俺にまで気を遣わせて笑ってほしくない。そんな笑顔は違う。

「ねえ、聞いて良い?」

「…なに?」

姫乃は少し構える。
何を聞かれるのかびくびくしているように見えた。

「姫乃って、両親のこと嫌い?」

姫乃は俯いて首を横に振った。

「母の事も、父の事も、嫌いじゃない。けど、好きじゃない…。あの人たちに、どんな感情を向けるのが正解なのか、あの人たちがどんな顔をしていたか、どんな人だったか…私はもう、思い出せないから」