君の指輪と海のカフェ

彼女は消えてしまう記憶の淵で、魂だけがその約束を覚えているかのように、湊をまっすぐに見つめた。

「店主さん。明日もまた、この言葉を教えてくれますか?」

「ええ、何度でも。君が忘れてしまっても、僕が覚えていますから」

湊は心の中で付け加える。



(たとえ君の記憶が凪いだ海のように真っ白になっても、僕の愛だけは、終天ともに、君の傍にあるよ)




夕暮れの光が店内に差し込み、二人の影を一つに重ねていた。