君の指輪と海のカフェ

夕暮れ時、彼女が帰る間際。湊は決まって、彼女の手に一通の手紙を渡す。

「これ、忘れ物ですよ。明日の朝、読んでみてください」

中身は、今日二人が話したこと、彼女が笑った瞬間、そして「明日の美波」へ向けた、湊からのラブレターだ。

夜、美波が眠りにつくと、今日一日の記憶は潮が引くように消えてしまう。

けれど、翌朝目覚めた彼女は、枕元の手紙とノートを読み、また湊に会いたいと願う。

「さようなら、また明日」

店を出る彼女の背中を見送りながら、湊は小さく呟く。

「また明日。何度でも、君に恋をするよ」

それは、世界で一番遠くて、世界で一番近い場所で繰り返される、終わらない初恋だった。