主治医からは、無理に思い出させることが彼女の心に大きな負担になると告げられていたからだ。
「それは良かったです。隠し味に、少しだけ甘い記憶を混ぜているんですよ」
湊が冗談めかして言うと、美波は「不思議な人ですね」と小さく笑った。
ある日、美波がスケッチブックを忘れて帰った。湊が中を開くと、
そこには驚くほど詳細に描かれた「湊の横顔」があった。
ページをめくるたび、日付とともに彼の笑顔や、コーヒーを淹れる手が描かれている。
最後の一ページには、震える文字でこう記されていた。
『明日の私は、あなたのことを覚えていますか?』
「それは良かったです。隠し味に、少しだけ甘い記憶を混ぜているんですよ」
湊が冗談めかして言うと、美波は「不思議な人ですね」と小さく笑った。
ある日、美波がスケッチブックを忘れて帰った。湊が中を開くと、
そこには驚くほど詳細に描かれた「湊の横顔」があった。
ページをめくるたび、日付とともに彼の笑顔や、コーヒーを淹れる手が描かれている。
最後の一ページには、震える文字でこう記されていた。
『明日の私は、あなたのことを覚えていますか?』
