君の指輪と海のカフェ













「……みな……と、くん?」

掠れた声でその名を呼んだ瞬間、美波の瞳から大粒の涙が溢れ出しました。それは「今日出会った店主」に向けるものではなく、
一年間、心の奥底でずっと探し求めていた「最愛の人」に向ける涙だった。

「湊くん……ごめんなさい、私……。ずっと、目の前にいたのに……!」

「いいんだ、美波。思い出さなくても、僕は君を愛し続けると決めていたから。でも……思い出してくれて、ありがとう」

湊は、記憶を取り戻した彼女を壊れ物を扱うように強く抱きしめた。

毎日繰り返してきた「初対面」の儀式は、もう必要ない。

明日、彼女が目覚めたとき、隣にいるのは「見知らぬ店主」ではなく、人生を共に歩むと誓った最愛の男性だ。

「おかえり、美波」

「ただいま、湊くん。……もう、絶対に忘れないから」

夕暮れのカフェに、二人の啜り泣きと、ようやく重なり合った二つの鼓動だけが響いていた