君の指輪と海のカフェ

 翌日、湊は美波がカップを置くところを見図り、彼女の薬指に触れ、耳元で熱く、けれど静かに囁いた。

「美波。愛してる。終天ともに、君の傍にいると誓った。あの日、海辺で僕が贈った言葉だ」

その瞬間、美波の瞳の奥で、止まっていた時計の針が激しく音を立てて動き出した。

脳裏を駆け巡る、潮騒の音。夕日に照らされた二人の影。そして、今と同じように薬指に触れ、愛を誓っってくれた湊の横顔。

バラバラに散らばっていた記憶のピースが、湊の声という鍵によって、一つに繋がり、色を取り戻していきく。