君の指輪と海のカフェ

海辺の街で、カフェを営む湊(みなと)には、毎日午後三時にやってくる特別な客がいた。

名前は美波(みなみ)。彼女はいつも窓際の席に座り、湊が淹れる少し苦めのカフェラテを頼む。

二人は恋人同士だった。しかし、一年前の事故で、美波は「湊に関する記憶」だけを失っていた。


「あの、ここのラテ、すごく懐かしい味がします」

美波は、目の前に座る男が、かつて自分と将来を誓い合った人だとは知らない。

湊は美波との関係を隠し、ただの「店主」として彼女を迎え続けていた。