One year left -家族ごっこ-

「俺があんたの電話に出ないと思った?」


「え?」


「おおかた、母親に嘘つくためにわざわざ外に出たんだろ」


「どういう意味……」


「俺が外泊する、とか?」


碧くんがふっと笑う。


まるで私が嘘つきだと言わんばかりに。


私だって好きでお母さんに嘘をつこうとしたわけじゃない。


納得してもらうためには、それが最善だと思ったからだ。


「碧くんがお母さんの電話を無視しなければ良かっただけじゃん」


「あぁ、気づかなかった」


「だったら、今日みたいに帰りが遅くなったり、もし外泊する日は、お母さんに一言だけでいいから電話してくれない?」


手に持ったままのペットボトルは、もうひんやりと冷たくなっていた。