One year left -家族ごっこ-

『んー、ちょっと待って』


キャアキャアの声が小さくなる。


夕紗が碧くんたちの近くから離れたみたいだった。


『ってゆうか、合月 碧の友達にナンパされた。希歩も凛もめっちゃノリ気。これからみんなでカラオケかファミレス行こうって話になってる』


「嘘でしょ……碧くんも来るの?」


『特に何も言わないから、来るんじゃないかな』


「やだやだやだ。私は行かない」


『逆に、合月くんに口止めするチャンスだよ?』


夕紗に言われて冷静になる。


そうだ、碧くんに事情を話して黙っていてもらおう。


彼に知られたからには、もうお母さんに隠し通すことはできない。


何かの拍子に言われたら困る。


そうなるくらいなら、せめて私が自分の口から伝えるんだ。


「今、戻るね……」


決心しても、気が重くて声が消えそうだった。


『え?』


「今、戻るから待っててね……」


『大丈夫?』


「うん。碧くんに口止めする」