One year left -家族ごっこ-

近くの建物の陰に隠れて、青ざめながらスマホを取り出し、夕紗に電話をかける。


「もしもし……」


『萩花!どこ行ったの?』


「それより碧くんは?いなくなった?」


『えーっと……』


「なに……?」


『今、ここにいるよ』


ガーンと何か硬いもので頭を殴られた気がした。


そこにいるなら、この会話も聞いているはず。


知られた……?


一番見られたくない人にダンスを見られた……?


身体が震えて、声が出ない。


スマホ越しに希歩と凛の黄色い声が聞こえてくる。


最後の望みは、この声で私の名前がかき消されていること。