One year left -家族ごっこ-

カーテンだけが付けられた、何もない部屋。


「幸せ、か」


碧くんが呟いた。


その言い方がなんとなく気になって、「なに?」と聞き返す。


「親父とあんたの母親が出会ったとき、うちはまだ離婚してなかったって知ってたか?」


唐突な質問に頭が真っ白になる。


「どういう意味?お母さんが離婚の原因だって言いたいの?」


「別に。そのときはもう別居状態で、すでに夫婦関係は破綻してたしな」


「じゃあ何が言いたいの?」


私にはお母さんを責めているように聞こえた。


そっちの夫婦関係にお母さんは関係ない。


威嚇するように睨みつけた。


「……特に何も。あんたの母親の惣菜にいつも助けられてたって話」


「なにそれ」


全然腑に落ちなかったけど、もう言い合いになるのは嫌だったから、それ以上は追求しなかった。