One year left -家族ごっこ-

「悪いけど、ここは入れないから」


突然、後ろから身体を引かれた。


抱き上げられて、驚く。


「碧くん、なんで?」


サングラスをかけていても、碧くんだってすぐに分かった。


彼の顔を見た瞬間、全身の力が抜けていた。


私は信じられないくらい、ほっとして、気づいたら碧くんにしがみついていた。


「……誰?」


蓮己さんの目から光がなくなったように、碧くんを睨み上げる。


「彼氏だけど」


「彼氏?萩花からそんな話聞いたことないけど」


「こいつは秘密主義だからな」


チラリと私に目をやる。


「やっぱり。男だろうとは思ったけど、」


そして、私から蓮己さんに視線を戻した。


「ラブホに連れ込もうとするような男だとはな」


「違うの。蓮己さんは少し仮眠するために……」


とっさに庇おうとすると、「バーカ。ヤる以外の理由ねーから」と、一蹴される。


そして碧くんは蓮己さんを見据えて、低い声で言った。


「お前、こういうことばっかしてんだろ。そうゆう奴って、一目見れば分かる」


担がれたまま、連れていかれる。


後ろで蓮己さんが何か言ったけど、碧くんは振り返ることもなかった。