気づいたら、君を見ていた

もうアイドルは推さないかもしれない。

そう思っていた。

前に好きだった人がいた。
ライブにも行ったし、グッズも買ったし、イベントにも参加した。

でもある日、
ファンと話すその人の姿を見てしまった。

ファンが喜びそうな言葉を言って、
ファンが求める表情をして、
ファンがときめくようなことを言う。

きっとそれは、
アイドルとして正しいことなんだと思う。

でもその瞬間、私は少し冷めてしまった。

「こういうものなんだ」

そう思ったら、
前みたいな気持ちで応援することができなくなった。

だから思った。

もうアイドルを推すことは
ないかもしれないって。

そんな時だった。

前に好きだったグループが
韓国のイベントに出演することになって、
私はそのイベントの公式アカウントをフォローした。

特に深い意味はなかった。

ただ、なんとなく。

ある日、そのアカウントが
YouTubeの動画を投稿した。

サムネイルの写真が表示された。

その中に、
一人の男の子がいた。

金髪で、
短い髪で、
信じられないくらい可愛い顔をしていた。

思わず声が出た。

「え、なにこの子…」

気づいたら
動画をタップしていた。

それが

LUMINAの「INSANE」MVだった。

最初に目に入ったのは
やっぱりあの子だった。

ユン。

可愛い顔なのに
低い声でラップをしていた。

何度も巻き戻して
その子のシーンを見た。

そのあと、私は
YouTubeで「ユン」と検索した。

ファンが作った
ユンのまとめ動画が出てきた。

可愛いところも
かっこいいところも
全部詰まっていた。

気づいたら
何本も動画を見ていた。

そしていつの間にか

YouTubeのおすすめは
LUMINAだらけになっていた。

TikTokも
LUMINA。

聴く音楽も
LUMINA。

でもその頃の私は
まだ気づいていなかった。

本当に好きになる人が
誰なのか。

その人のことを。


気づいたら、君を見ていた」