消えたくなったら星(スター)になれ

「あーあ。今夜にでも学校、爆発しないかなあ。そしたら被害者〇で学校なくなるのに」

 わたしはそんなことをつぶやきながら、登校する。
 今日も今日とて、中学の白い校舎は山のように目の前にそびえ立っていた。

「朝から物騒な寝言だな。寝言は寝ていえ」

 その声に振り返ると、桐生海都(きりゅうかいと)が呆れたような顔で立っている。
 げ、朝から嫌な奴の顔見ちゃったなあ……。
 わたしはため息をついて、嫌味たっぷりにいう。

「めっちゃ小声でつぶやいたのに聞こえるなんて、地獄耳だねー」
「まあな。おれ耳もいいから。ただし、星谷(ほしたに)限定でな」
「は? なにそれ怖っ」
「怖がれ、怖がれ。幽霊のように一生、つきまとってやるよ」

 桐生はそういってニヤニヤと笑う。
 一生、桐生につきまとわれるなんて嫌すぎる!
 なにか反論しようとしたそのとき。
「桐生、おはよー」と男子たちの声。
 わたしはいつもよりも素早い動きで、桐生のそばから離れた。

 桐生は男子たちと、笑い合いながら歩いて行く。
 それからこちらをちらりと振り返り、勝ち誇ったような笑みを見せる。
 どうせ「友だちが多いおれ、羨ましいだろ」とでもいいたいんだろう。
 中学でぼっちのわたしへの嫌味だよね。
 だけど、ほんの一瞬、桐生の瞳が寂しそうに見えた。
 ま、気のせいか……。

 桐生みたいな陽キャの考えてることなんて、わたしみたいな陰キャぼっちにはわかんないだろうし。
 別にわからなくたっていい。
 わたしはヴァーチャルに居場所があれば、それでいいんだから。