「手伝ってよ」
直央の言葉に、私は顔をしかめた。
「なんで私」
「暇そうだし」
「失礼」
直央はくすっと笑った。
「まあまあ」
私は立ち上がった。
「帰る」
「えー」
「家あるし」
そう言って、私は河川敷の土手を歩き出す。
夕焼けはもうほとんど消えていて、空は暗くなり始めていた。
でも数歩進んだところで、後ろから声がした。
「なあ」
振り返る。
直央はさっきと同じ場所に立っていた。
「どうしたの」
「そこまで」
直央は、河川敷の階段を指さした。
「そこまでしか行けない」
「は?」
私は階段の方を見る。
直央はそこまで歩いた。
そして——
ぴたりと止まる。
まるで、見えない壁にぶつかったみたいに。
もう一歩進もうとする。
でも進めない。
「ほら」
直央は肩をすくめた。
「これ以上行けない」
私は眉をひそめる。
「なにそれ」
「幽霊の仕様」
「仕様って」
「知らんけど」
私はしばらく黙っていた。
風が強く吹く。
川の音が少し大きく聞こえる。
それから私は言った。
「……ほんとに幽霊なの?」
直央は笑う。
「さっき証拠見せたじゃん」
「たまたま音しなかっただけかも」
「じゃあ触ってみる?」
直央が手を差し出す。
私は少し迷った。
でも——
そっと手を伸ばす。
指先が触れた瞬間。
すり抜けた。
私は思わず手を引っ込めた。
「……」
直央は笑う。
「な?」
私は言葉が出なかった。
しばらく沈黙が流れる。
川の音だけが聞こえる。
「……で」
私はやっと言った。
「未練って何」
直央は空を見上げた。
「さあ」
「さっきも言ってた」
「ほんとにわかんないんだよ」
「じゃあどうするの」
直央は笑う。
「探す」
「どうやって」
「知らん」
「適当すぎ」
直央は肩をすくめる。
「でもさ」
それから私を見る。
「未練叶えたら成仏できるらしい」
「らしい?」
「うん」
「誰に聞いたの」
直央は少し考える。
「幽霊」
私は顔をしかめた。
「……適当すぎ」
直央は笑う。
「まあいいじゃん」
そして言う。
「暇なら付き合ってよ」
私は黙る。
夕焼けはもう消えて、空は暗くなっていた。
街の明かりが少しずつ灯り始める。
直央が言った。
「澪」
「なに」
「明日も来る?」
私は少し迷った。
それから言う。
「……暇だったら」
直央は笑った。
「じゃあまた明日」
私は河川敷の階段を上がる。
振り返ると、直央はまだそこに立っていた。
暗くなった河川敷で、手を振っている。
私は小さくため息をついた。
でも心のどこかで思っていた。
明日も来るかもしれない。
直央の言葉に、私は顔をしかめた。
「なんで私」
「暇そうだし」
「失礼」
直央はくすっと笑った。
「まあまあ」
私は立ち上がった。
「帰る」
「えー」
「家あるし」
そう言って、私は河川敷の土手を歩き出す。
夕焼けはもうほとんど消えていて、空は暗くなり始めていた。
でも数歩進んだところで、後ろから声がした。
「なあ」
振り返る。
直央はさっきと同じ場所に立っていた。
「どうしたの」
「そこまで」
直央は、河川敷の階段を指さした。
「そこまでしか行けない」
「は?」
私は階段の方を見る。
直央はそこまで歩いた。
そして——
ぴたりと止まる。
まるで、見えない壁にぶつかったみたいに。
もう一歩進もうとする。
でも進めない。
「ほら」
直央は肩をすくめた。
「これ以上行けない」
私は眉をひそめる。
「なにそれ」
「幽霊の仕様」
「仕様って」
「知らんけど」
私はしばらく黙っていた。
風が強く吹く。
川の音が少し大きく聞こえる。
それから私は言った。
「……ほんとに幽霊なの?」
直央は笑う。
「さっき証拠見せたじゃん」
「たまたま音しなかっただけかも」
「じゃあ触ってみる?」
直央が手を差し出す。
私は少し迷った。
でも——
そっと手を伸ばす。
指先が触れた瞬間。
すり抜けた。
私は思わず手を引っ込めた。
「……」
直央は笑う。
「な?」
私は言葉が出なかった。
しばらく沈黙が流れる。
川の音だけが聞こえる。
「……で」
私はやっと言った。
「未練って何」
直央は空を見上げた。
「さあ」
「さっきも言ってた」
「ほんとにわかんないんだよ」
「じゃあどうするの」
直央は笑う。
「探す」
「どうやって」
「知らん」
「適当すぎ」
直央は肩をすくめる。
「でもさ」
それから私を見る。
「未練叶えたら成仏できるらしい」
「らしい?」
「うん」
「誰に聞いたの」
直央は少し考える。
「幽霊」
私は顔をしかめた。
「……適当すぎ」
直央は笑う。
「まあいいじゃん」
そして言う。
「暇なら付き合ってよ」
私は黙る。
夕焼けはもう消えて、空は暗くなっていた。
街の明かりが少しずつ灯り始める。
直央が言った。
「澪」
「なに」
「明日も来る?」
私は少し迷った。
それから言う。
「……暇だったら」
直央は笑った。
「じゃあまた明日」
私は河川敷の階段を上がる。
振り返ると、直央はまだそこに立っていた。
暗くなった河川敷で、手を振っている。
私は小さくため息をついた。
でも心のどこかで思っていた。
明日も来るかもしれない。
