舞台の中心で花咲く蕾

「それと澪。お前にはしばらく男遊びを禁じていたはずだが? 先月の合コンの記事からまだ一ヶ月も過ぎてないぞ!」

「遊びじゃないから」

「なおさら駄目じゃないですか! 人の彼氏に手を出して最低ッ!!」

「陽葵。それ以上は喧嘩になる。止めろ」

 声のトーンが低くなったマネージャーに、怒る数秒前だと察した私は二人にある提案をした。

「マネージャーの言うとおり。取り敢えず今は明日の生放送を頑張って、その後にマネージャーがぶん取ってくれた夏休みで話し合うってのはどう? 二人だけで言い合っても悪くなる一方だし、私も予定ないから三人でさ」

「七海ぃ~」

「七海ちゃん! でも私本気で」

 くっ付いてきた澪はともかく、珍しく陽葵が粘る。
 それほど本気なのだろう。

「それに私たちだけで話し合っても相手がいなきゃ意味がないじゃない? 澪が簡単に手を出したのは悪いけど、それにノった男も男でしょ? 百歩譲って澪が知らないとしても男性の方は知っているんだから」

「……確かに」

 噂のADくんは色々とよくない噂を聞くから、彼の周りにいる女性は二人だけじゃない可能性もあるし。

 親切にしている時は本当に良い人なんだけどしつこく連絡先を聞いてくるって話も聞いたし、自分のモノのように扱われた人も居るって。

「いやー助かったよ星宮。痴情のもつれで解散ってなったら僕の首が吹き飛ぶところだったよ。物理的に」

「物理的に?」

「ああ。物理的に」

 場は収まり、恋愛経験の浅い私はこれでしばらくは大丈夫だとほっと一息ついた。


 例の生放送が終わり次の日の朝、SNSのトレンド上位をCiEl関連で埋め尽くされるまでは――。