星を拾う指先が、温かくなるまで

 蒼黒い夜空に浮かぶ丸い月が、寒い冬の海を照らしていた。
 その中に浮かび「僕」はただ、流れている。

 「僕」は誰? ああっ、そうだ。「僕」は「風」。

 枯れ葉を巻き上げ、砂浜の砂をめくるように押し流す。
 声に出しても「ヒュー。ヒュー」と、世界を流れる音に変わってしまう。

 僕は、どこまでも流れ、彷徨い続ける。
 ふと、あの灯台に吹き寄せられたのは、ただの偶然だったのかもしれない。

 どっしりとした石造りで、飾り気のない古びた灯台。
 その足元には、ゴロゴロとした石岩が積み重なり、静かに波が、ぶつかっていた。

 ここはどこだろう。見たことも聴いたこともない街なみ。
 波の音だけ聞こえる夜中の暗闇は、小さな星を砕き輝やかせた。

 そこで出会った少女が一人。五歳くらいで、寂しそうな横顔で立っている。
 指先が破れた手袋。何枚もの服を重ね着した姿。

 藁で編んだ籠を持ち、じっと海を見つめている。
 その青い瞳が、僕の心をぎゅっと締め付ける。

 少女が心に小さな明かりの粒を光らせると、僕の風は少女の元。古びた灯台へ向かい進む。