「はっきり言うね。今の私に、なんの魅力も感じない。なのに、なんで好きとか言えるの?豊は平気でりぃを裏切れる男なんだよ?それに、お互い割り切った関係だと思ってた。だから、付き合えない。」

強く言い過ぎちゃったかな・・なんだか豊の顔が今日一番の真面目な顔になっている。

「俺、杏が好き。杏は自分自身に魅力感じないかもしれないけど、俺は、今の杏にすごく魅力を感じてる。ここまで本気で誰かを好きとか思った事ないって、自信持って言える。」

まただ・・・。

キレイ事だよ。

豊の目はまっすぐ私に向けられているのに、その目の奥には何があるかとか余計な事ばかりが頭の中をよぎる。

豊を信用する事なんて、到底無理。

私に手出してきた時点から、それは分かってた事。
今のりぃは、昔の私の立場なんだ。
りぃも浮気をしてた。
だから、結局みんな表向きは好きとか、愛してるなんて平気で言うんだ。
勝手に束縛して、欲求を満たして、それで最後は捨てるんだ。
所謂使い捨て。
コンドームと同じ。

その繰り返しじゃない。

なんだかそんな事を考えていたら胸が熱くなってきた。
泣きそう・・・。
今誰かに触れられたら、大声を上げて泣いてしまうかもしれない。

次の瞬間、豊の一言が、私の心に触れた。

豊の手が、私の心に突き刺さったままのナイフを抜きたそうに触れてきた。