私のトールグラスが底を見せた頃、小川さんの話は終わった。

私達の予想はだいたい当たっていた。


「じゃぁ、ほぼ毎週土曜日に?」

「そうだね。私もそれまでは休みだったんだが、休日にこんな事で借り出されるとは情けないな。まぁ、手当てが良いから引き受けたんだが。」

そういえば・・

私の所のマンションは、私が一人暮らしをしているくらいだから、小川さんみたいに社長さんの運転手なんかしてる人が住むような所ではないと思った。それに、前に小川さんの娘さん夫婦が、子供、つまり小川さん達の孫を連れている所を見かけた事がある。だから、てっきりみんなで住んでいるのだと思い、あまりにも狭いだろう・・と思った事を思い出した。

「小川さんは、奥さんとお二人で住んでるんですか?」


「そうだよ。いやぁ恥ずかしいことにねぇ。前の家を売って一年前くらいに娘夫婦のうちと近くなる所に越したんだ。昔は埼玉に住んでいたんだがね。実はうちにも色々事情があって妻には贅沢な生活なんてさせてあげる事できなくてね。まぁ、なんとか同じ仕事を紹介してもらって今の人に付いているんだ。」

「そうなんですか。」

根掘り葉掘り聞きたくはなかったので、それについての会話を終わらせようと思った。