私が好きになった彼には好きな人がいた。

 朝、教室に入ると一軍女子の瑠夏ちゃんが沈んだような顔をして座っていて、その周りを瑠夏ちゃんの友達が囲っていた。何かあったんだろう。
 瑠夏ちゃんはよく、彼氏の話をよくしてるから、彼氏と喧嘩した、とか別れたとか何だと思う。
 鞄を置いて、先に学校に着いていた麟夏の席に行った。
「麟夏〜瑠夏ちゃん何かあったの?」
「それがさ、驚くべき内容なの。美月覚悟して聞いてよ。」
 ゴクっと唾を飲み込み、頷いて、覚悟を決める。そんな覚悟を決めるほどの内容なのかな。
「瑠夏ちゃん、…陸斗君と付き合ってたみたいで、昨日振られたんだって。」
「えっ、まじっ...。」
 確かに驚きの内容だった。勝手に陸斗君は彼女なんていないと思っていた。
 陸斗君に彼女がいるかどうかとか、好きな人がいるかとかなんてクラスの誰かに聞けば分かるはずなのに、どうしてしなかったんだろう。
 もし、彼女いるって言われたら自分が病んじゃうくらいに落ち込むのが予想できたからかな。でももう別れたならチャンスはあるはず。
 陸斗君は瑠夏ちゃんみたいな、クラスの中心にいて可愛い女の子が好きってことなのかな。
 告白したのはどっちなんだろう。好きな人には、アタックする感じなのかな。
 告白されたから、まあとりあえず付き合ったって感じなのかな。
 彼女が欲しかったから付き合ったのかな、本当に両思いだったのかな。
 なんで別れたのかな。
 気になることがたくさん出てくる。瑠夏ちゃんと恋バナがしてみたい。でもそんな勇気もないし、でも陸斗君のことが知りたい。
「これは、チャンスだよ。頑張って!私も何でも協力するから。」
 電池の切れたおもちゃのように固まっていた私に、彼女は小さい声でそう言った。
「だよね。ありがと。麟夏も頑張ってよ。」
 私も小さい声でそう返す。なんだか今日の授業の内容は、頭に入る気がしない。