手の届かないあなたと


E p i s o d e

💙「今日は雑談とゲームかな」

Aquaくんがそう言うと、コメントが一気に流れる。

「やった!」
「雑談好き!」
「ゲームなにやるの?」

Aquaくんは少し笑った。

💙「そんな急がなくても」

💙「まだ始まったばっかだから」

私はベッドの上でクッションを抱きながら、配信を見ていた。

コメント欄がどんどん流れていく。

💙「今日学校だった人いる?」

すぐにコメントが増える。

「学校だった!」
「クラス替えだった!」
「疲れたー!」

Aquaくんがうなずく。

💙「クラス替えの時期だよな」

💙「新しいクラスどう?」

私は思わず小さくつぶやく。

「……今日だった」

Aquaくんは続ける。

💙「仲いいやつと同じクラスだった人もいるだろうし」

💙「全然知らない人ばっかの人もいるよな」

私は今日のことを思い出す。

掲示板。

美咲と同じクラスだったこと。

そして――

隣の席の如月 凛。

「……」

私はまた画面を見る。

Aquaくんはコメントを読みながら笑っていた。

💙「まぁ」

💙「ゆっくり慣れていけばいいんじゃない?」

その言葉を聞いて、私は少し安心した。

「……うん」

次の日。

私は少し眠い目をこすりながら席に座った。

昨日、Aquaくんの配信を最後まで見てしまったからだ。

「ふぁ……」

小さくあくびをする。

そのとき。

隣から声がした。

「眠そう」

私はびっくりして横を見る。

凛。

「え……」

凛は少し笑う。

「昨日夜更かし?」

私は少し焦る。

「ち、ちょっとだけ」

凛は机に肘をつきながら言う。

「授業中寝ないでよ」

「っ……」

私は思わず言い返す。

「寝ないよ!」

凛は少し笑った。

そのとき。

ガラッ

教室のドアが開く。

「はい席つけー」

先生が入ってきた。

クラスが一気に静かになる。

授業が始まった。

私はノートを取りながら、必死に黒板を見る。

でも――

(眠い……)

昨日、配信を最後まで見てしまった。

そのせいで少し頭がぼーっとする。

「……」

気づいたら、ノートを書く手が止まっていた。

そのとき。

コツン

机に小さく何かが当たる。

私はびっくりして横を見る。

凛が小さくノートを指さしていた。

黒板の内容を書いたノート。

(あ……)

私は慌てて黒板を見る。

「……!」

書き忘れていたところだった。

凛は小さく口を動かす。

「ここ」

私はすぐにノートを書く。

「……ありがとう」

小さく言うと、凛は前を向いた。

私はノートを書きながら、小さく息を吐いた。

(危なかった……)

凛が教えてくれなかったら、完全に書き逃すところだった。

そのとき。

先生の声が聞こえる。

「じゃあここ」

「佐々木」

「……えっ」

私はびっくりして顔を上げた。

クラスの視線が一斉にこっちに向く。

(うそ……)

私は慌てて教科書を見る。

でも――

(どこ……?)

さっきぼーっとしていたせいで、全然分からない。

「佐々木」

先生がもう一度言う。

私は焦ってページをめくる。

そのとき。

横から、そっと教科書が動いた。

凛が指である場所を指していた。

問題の場所。

(あ……)

私は小さくうなずく。

「えっと……」

なんとか答えると。

先生がうなずいた。

「そうだな」

「座っていいぞ」

私はほっとして席に座る。

(助かった……)

小さく息を吐く。

すると隣から小さい声。

「寝不足」

私は思わず凛を見る。

凛は少し笑っていた。

「……ありがとう」

小さく言うと。

凛は前を向きながら言った。

「ちゃんと寝なよ」

チャイムが鳴った。

「はい、ここまで」

先生が教室を出ていく。

クラスが一気にざわざわし始めた。

私は小さく息を吐く。

「はぁ……」

すると隣から声。

「ほんとに寝不足じゃん」

私はびっくりして凛を見る。

「違うよ!」

凛は少し笑った。

「さっき固まってた」

「……うぅ」

言い返せない。

そのとき。

ガラッ

教室のドアが開いた。

「凛ー」

明るい声。

教室の入口に立っていたのは、背の高い男子だった。

「お、いた」

その人はそのまま教室に入ってくる。

そして凛の机の横に来た。

「次の授業さ」

「体育だっけ?」

凛が答える。

「うん」

私はその様子を少し戸惑いながら見ていた。

(……誰?)

その男子がふっと私を見る。

「……あれ?」

「隣変わった?」

凛が言う。

「クラス替え」

その男子は少し笑った。

「なるほど」

私は少し迷ってから、小さく聞いた。

「……あの」

「あなたは……?」

その男子は一瞬きょとんとしたあと、笑った。

「あ、ごめん」

「まだ言ってなかった」

「日向翔湖」

「凛の友達」

私は小さくうなずく。

「佐々木愛桜です」

「よろしくお願いします」

翔湖は言う。

「よろしく、佐々木さん」

そのとき。

「愛桜ー!」

後ろから元気な声が聞こえた。

振り向くと――

美咲。

「さっき先生に呼ばれてさー」

そう言いながらこっちに来る。

そして翔湖を見る。

「……あれ?」

「誰?」

翔湖が言う。

「日向翔湖」

「凛の友達」

美咲はすぐに笑った。

「立花美咲!」

「愛桜の友達!」

「着替え行こうぜ」

翔湖がそう言うと、凛は立ち上がった。

「うん」

二人はそのまま教室を出ていく。

美咲がその様子を見ながら小さく言う。

「凛くん、やっぱりイケメンだよね」

私は少し驚く。

「そ、そうかな……」

美咲は笑う。

「優しいし」

「背高いし」

私は少しだけうなずいた。

「……優しい人だとは思う」

それから私たちも体育の準備をして、体育館へ向かった。

体育館にはもうクラスの人たちが集まっている。

先生が言う。

「今日はドッジボールな」

クラスが少しざわざわする。

「チーム分けるぞー」

私は美咲の隣に立つ。

少し緊張していた。

(当たったら痛そう……)

ゲームが始まる。

ボールがあちこち飛び交う。

私はなるべく当たらないように、端の方にいた。

そのとき。

「危ない!」

誰かの声。

次の瞬間。

ボールがこっちに飛んできた。

「え……!」

私はびっくりして動けない。

そのとき。

ぐいっ

腕を引かれた。

「ぼーっとしてる」

聞き覚えのある声。

凛。

私は驚いて凛を見る。

ボールはすぐ横を通り過ぎていった。

「……あ」

凛は少し呆れた顔をして言う。

「ほんとドジ」

私は顔が熱くなる。

「ご、ごめん……」

凛は小さくため息をついた。

「謝らなくていいけど」

「気をつけなよ」

「謝らなくていいけど」

「気をつけなよ」

凛はそう言って、手を離した。

私はまだ少しびっくりしていた。

そのとき。

後ろから声がする。

「愛桜ー!」

振り向くと、美咲がにやにやしていた。

「また助けられてるじゃん」

「っ……!」

私は一瞬で顔が熱くなる。

「ち、違うよ……!」

美咲は楽しそうに笑う。

「いや見てたけど?」

「完全に助けられてたよね」

私は何も言えなくなる。

その横で。

翔湖が少し不思議そうに凛を見ていた。

「……へえ」

「凛が女子助けるんだ」

凛が少し眉をひそめる。

「何それ」

翔湖は少し笑う。

「いや」

「珍しいなって」

そして小さく言った。

「あいつが女子助けるなんて」

美咲がすぐに言う。

「え、そうなの?」

翔湖は肩をすくめた。

「凛ってあんまり女子と関わらないし」

私は少し驚いて凛を見る。

凛は少し面倒くさそうに言う。

「たまたま」

美咲はまたにやっと笑った。

「へぇ〜」

「たまたまねぇ?」

「たまたま」

凛がそう言うと、翔湖は少し笑った。

「ほんとかね」

美咲はまだにやにやしている。

「へぇ〜」

「たまたまねぇ?」

私は恥ずかしくなって顔をそらした。

そのとき。

「おーい、再開するぞ!」

先生の声が体育館に響く。

クラスのみんながまた位置につく。

私は少し端の方に立った。

(今度は気をつけよう……)

ゲームが再開する。

ボールがあちこち飛び交う。

翔湖がボールをキャッチする。

「ナイス!」

誰かの声。

翔湖はそのままボールを投げる。

「それっ」

ボールが相手チームに当たる。

「よし!」

翔湖は少し笑った。

その横で、凛がボールを受け取る。

凛は軽く投げると――

また一人当たった。

「うわ、すご」

美咲が小さく言う。

「二人とも強いじゃん」

私はその様子を少し離れたところから見ていた。

(すごい……)

そのとき。

またボールがこっちに飛んでくる。

「……!」

私はびっくりして動く。

今度はちゃんと避けることができた。

「よかった……」

小さくつぶやく。

遠くで凛が少しだけこっちを見ていた。

チャイムが鳴った。

「そこまでー」

先生の声が体育館に響く。

みんな少し疲れた様子で集まる。

「体育終わりー」

「疲れた」

そんな声が聞こえる中、私は美咲のところへ行った。

「愛桜大丈夫?」

美咲が笑う。

「さっきまた危なかったよね」

「……うぅ」

私は少し恥ずかしくなる。

その頃。

体育館の外の水飲み場では――

凛と翔湖が水を飲んでいた。

翔湖が言う。

「さっきさ」

凛は水を飲みながら言う。

「なに」

翔湖は少し笑った。

「また助けてたじゃん」

凛は少し眉をひそめる。

「ボール当たりそうだったし」

翔湖は肩をすくめる。

「いや」

「それでも珍しいって」

凛は黙って水を飲む。

翔湖は続ける。

「凛ってさ」

「女子とあんまり関わらないじゃん」

凛は少しだけため息をつく。

「たまたま」

翔湖は笑う。

「またそれ?」

凛は水道を止めた。

「別にいいだろ」

翔湖はまだ少し面白そうに笑っていた。

「まぁな」

「でもさ」

翔湖は少し考える。

「佐々木さんって」

「おとなしいよな」

凛は少しだけ考えて言う。

「……ドジ」

翔湖は吹き出した。

「それはわかる」

翔湖はまだ少し面白そうに笑っていた。

「まぁな」

「でもさ」

翔湖は少し考える。

「佐々木さんって」

「おとなしいよな」

凛は少しだけ考えて言う。

「……ドジ」

翔湖は吹き出した。

「それはわかる」

そして少し笑いながら続けた。

「でもさ」

「佐々木さん可愛いよね」

凛は少しだけ手を止める。

「……そう?」

翔湖はうなずく。

「うん」

「なんか小動物みたい」

凛は少し呆れたように言う。

「例え方」

翔湖は笑う。

「いやでもさ」

「凛が助けたくなるのちょっとわかる」

凛は水道を止めた。

「別に」

翔湖はまたにやっとする。

「またそれ?」

凛は何も言わずに歩き出す。

翔湖はその後ろを追いながら言った。

「否定しないんだ」

体育が終わって、私は美咲と一緒に体育館の端に座っていた。

「疲れたー」

美咲がそう言いながら水筒を飲む。

私は少し息を整える。

「ドッジボールって結構疲れるね」

美咲はにやっと笑った。

「それよりさ」

私は嫌な予感がする。

「……なに?」

美咲は楽しそうに言う。

「また助けられてたよね」

「っ……!」

私は一瞬で顔が熱くなる。

「ち、違うよ!」

美咲は笑う。

「いや見てたけど?」

「完全に助けられてたじゃん」

私はうつむく。

「たまたまだよ……」

美咲は腕を組む。

「へぇ〜」

「たまたまねぇ」

私は何も言えなくなる。

そのとき。

体育館の入口の方から男子たちが戻ってきた。

凛と翔湖もその中にいる。

美咲が小さく言う。

「ほら」

「来たよ」

私は思わずそっちを見る。

凛は普通に歩いてきて、少しだけ私たちの方を見る。

でもすぐに視線を外した。

翔湖はその横で少し楽しそうな顔をしていた。

美咲が小さくつぶやく。

「ねぇ」

「絶対凛くん、愛桜のこと気にしてるよ」

「そ、そんなことないって!」

私は慌てて言った。

「はい、集合ー」

先生の声が体育館に響く。

みんなが集まる。

「今日はここまで」

「片付けして教室戻れー」

体育の授業は終わった。

私は美咲と一緒に更衣室へ向かう。

「愛桜さ」

着替えながら美咲が言う。

「凛くんに助けられすぎじゃない?」

「もう……」

私は少し困った顔をする。

「わざとじゃないよ」

美咲は笑う。

「わかってるって」

「でもさ」

「なんか漫画みたいだよね」

私は少し恥ずかしくなる。

着替え終わって教室へ戻ると、男子も少しずつ戻ってきていた。

私は席に座る。

そのとき。

「佐々木さん」

声がした。

私はびっくりして顔を上げる。

そこに立っていたのは――

翔湖。

「さっき大丈夫だった?」

私は少し驚く。

「え?」

翔湖は笑う。

「ドッジボール」

「ボール当たりそうだったじゃん」

「あ……」

私は小さくうなずく。

「大丈夫です」

翔湖は安心したように言う。

「ならよかった」

そのとき。

隣で椅子を引く音がする。

凛が席に戻ってきた。

翔湖が言う。

「凛、さっきナイスだったな」

凛は軽く答える。

「普通」

翔湖は笑う。

「いや普通じゃないって」

私はその会話を少し静かに聞いていた。

最後のチャイムが鳴った。

「じゃあ今日はここまで」

先生が教室を出ていく。

クラスが一気にざわざわし始めた。

「やっと終わったー」

美咲が大きく伸びをする。

私はノートを鞄にしまいながら言う。

「今日はなんか長く感じた」

美咲は笑う。

「体育あったからじゃない?」

私は少し考える。

「それもあるかも」

そのとき。

「凛」

教室の後ろから声がする。

振り向くと――

翔湖が手を振っていた。

「帰る?」

凛は鞄を持ちながら言う。

「うん」

翔湖が少し笑う。

「今日配信だろ?」

私はその言葉に少し反応してしまう。

(配信……?)

でもすぐに思い直す。

(違うよね)

凛は普通に答える。

「まぁ」

翔湖は言う。

「じゃあ早めに帰るか」

凛は軽くうなずいた。

「うん」

二人はそのまま教室を出ていく。

私はその背中を少しだけ見ていた。

美咲が横で言う。

「なんか仲いいよね」

「翔湖くんと凛くん」

私は小さくうなずく。

「うん」

美咲が続ける。

「愛桜も帰ろ?」

「うん」

私は鞄を持って立ち上がった。

教室を出て、廊下を歩く。

翔湖が隣で言う。

「今日配信だろ?」

凛は少しだけため息をついた。

「……翔湖」

「なに?」

翔湖が普通に答える。

凛は少し低い声で言った。

「お前」

「堂々と配信とか言うんじゃねぇよ」

翔湖は一瞬きょとんとする。

「え?」

凛は少し呆れた顔をする。

「教室で」

「普通に言ってただろ」

翔湖は思い出したように言う。

「あー」

「まぁ言ったな」

凛は少し眉をひそめる。

「誰か聞いてたらどうすんだよ」

翔湖は少し笑う。

「大丈夫だろ」

「誰も気にしてなかったし」

凛は小さくため息をつく。

「そういう問題じゃない」

翔湖は肩をすくめた。

「心配性だな」

「凛」

凛は少しだけ言い返す。

「普通だろ」

翔湖はまた少し笑った。

「まぁバレたら面白いけどな」

凛はすぐ言う。

「面白くない」

翔湖は少し笑いながら言う。

「でもさ」

凛がちらっと見る。

「なに」

翔湖は少し考えてから言った。

「佐々木さんがファンだったらどうする?」

凛は一瞬だけ止まる。

「……ないだろ」

翔湖は肩をすくめる。

「わかんないじゃん」

「結構いそうだし」

凛は歩きながら言う。

「別に」

翔湖はにやっとする。

「へぇ」

「じゃあもしそうだったら?」

凛は少し面倒くさそうに言った。

「どうもしない」

翔湖は笑う。

「冷たいな」

凛は少しだけ言い返す。

「普通だろ」

翔湖は少し楽しそうに言った。

「まぁでも」

「佐々木さん、歌い手とか好きそうな感じはする」

凛は少しだけ考える。

でも何も言わなかった。

翔湖はその様子を見て、少し笑っていた。

翔湖は少し楽しそうに笑いながら言う。

「そういえばさ」

凛がちらっと見る。

「なに」

翔湖は言った。

「凛ってさ」

「好きなタイプとかあるの?」

凛は少しだけ眉をひそめる。

「急に何」

翔湖は肩をすくめる。

「いや気になっただけ」

「凛そういう話しないじゃん」

凛は少し考える。

「別に」

翔湖はにやっとする。

「じゃあさ」

「佐々木さんみたいなのどう?」

凛は少し呆れた顔をする。

「なんでそこで佐々木」

翔湖は笑う。

「いや」

「おとなしいし」

「ドジだし」

「可愛いし」

凛は少しだけため息をつく。

「知らない」

翔湖はまた笑った。

「ほんとかよ」

凛は前を向いたまま言う。

「タイプとか考えたことない」

翔湖は少し考える。

「へぇ」

そして少し楽しそうに言った。

「じゃあこれから考えればいいじゃん」

翔湖は少し楽しそうに言った。

「じゃあこれから考えればいいじゃん」

凛は少し面倒くさそうに言う。

「興味ない」

翔湖は笑った。

「冷たいな」

少し歩いてから、翔湖がふっと言う。

「ちなみにさ」

凛がちらっと見る。

「なに」

翔湖は肩をすくめる。

「俺は佐々木さんみたいなの結構好きだけど」

凛は一瞬だけ黙る。

翔湖はそのまま続ける。

「おとなしいし」

「なんか守ってあげたくなる感じ」

凛は少しだけ眉をひそめる。

「……そう」

翔湖はにやっとする。

「なんだよその反応」

凛は普通に言う。

「別に」

翔湖は笑いながら言う。

「もし俺が仲良くなったらどうする?」

凛は少しだけ翔湖を見る。

「どうもしない」

翔湖はまた笑った。

「ほんとかね」

凛は何も言わずに前を向いたまま歩いていた。

学校を出て、私は美咲と並んで歩いていた。

夕方の空は少しオレンジ色になっている。

美咲が言う。

「今日疲れたー」

私は小さく笑う。

「体育あったしね」

美咲はふっと思い出したように言った。

「そういえばさ」

私は見る。

「ん?」

美咲は少し嬉しそうに言う。

「今日Aquaくん配信だよ」

「……!」

私は思わず止まりそうになる。

「ほんと?」

美咲はうなずく。

「うん」

「さっき通知来てた」

私は少し嬉しくなる。

「見る?」

美咲は笑う。

「もちろん!」

「毎回見てるし」

私は少し恥ずかしくなる。

「私も……」

美咲はにやっとする。

「愛桜ほんとAquaくん好きだよね」

私は少し顔が熱くなる。

「そ、そんなこと……」

美咲は楽しそうに笑った。

「絶対そうだって」

私は何も言えなくなる。

でも心の中では思っていた。

(今日の配信……楽しみ)

💙「どうも、Aquaです」

コメントがどんどん流れていく。

「待ってた!」
「アクアくんこんばんは!」
「今日も配信ありがとう!」

Aquaくんは少し笑った。

💙「今日は雑談しながらゲームでもしようかな」

コメントが一気に増える。

「雑談好き!」
「ゲーム何やるの?」

私はベッドの上でクッションを抱きながら配信を見ていた。

イヤホンから聞こえる声が心地いい。

Aquaくんはコメントを読みながら言う。

💙「今日も一日お疲れ」

💙「ちゃんとご飯食べた?」

コメント欄には

「食べた!」
「今食べてる!」
「ラーメン!」

そんな言葉が流れていた。

私は小さくつぶやく。

「ラーメン……」

(今日体育だったな)

ふと今日のことを思い出す。

ドッジボール。

そして――

凛に助けられたこと。

私は少しだけ頬が熱くなる。

「……」

でもすぐに画面に目を戻した。

Aquaくんは楽しそうに配信を続けていた。

Aquaくんはゲームをしながらコメントを読んでいた。

コメントがどんどん流れていく。

「そのゲーム懐かしい!」
「アクアくん上手!」
「がんばれ!」

そのとき。

一つのコメントを読んだ。

💙「ん?」

💙「好きなタイプ教えて?」

コメント欄が少し盛り上がる。

「気になる!」
「教えて!」
「確かに!」

Aquaくんは少し笑った。

💙「急だな」

コメントがさらに流れる。

「いいじゃん!」
「教えて!」

Aquaくんは少し考える。

💙「んー……」

💙「あんまり考えたことないけど」

私は思わず画面を見る。

Aquaくんは少しだけ笑って言った。

💙「まぁ」

💙「おとなしい子とか?」

コメントが一気に増える。

「可愛い!」
「分かる!」
「意外!」

私は少しだけドキッとした。

(……おとなしい子)

なんとなく、今日の自分を思い出す。

でもすぐに首を振る。

(まさかね)

私はまた配信に集中した。

💙「まぁ」

💙「性格いい人が一番じゃない?」

コメントが流れる。

「優しい!」
「アクアくんらしい!」

Aquaくんは少し笑った。

💙「でもさ」

💙「普通に可愛い子は好きだよ?」

コメント欄が一気にざわつく。

「出た!」
「急にチャラい!」
「アクアくん!?笑」

Aquaくんは少し楽しそうに笑った。

💙「いや、普通だろ」

💙「男なんだから」

コメントがまた流れる。

「正直!」
「急にチャラ男!」

Aquaくんはゲームをしながら続ける。

💙「でもまぁ」

💙「可愛いだけじゃダメだけどね」

コメント欄には

「それはそう」
「中身大事!」

そんな言葉が流れていた。

私はベッドの上でクッションを抱えながら小さくつぶやく。

「……チャラ男」

でも少しだけ笑ってしまう。

💙「まぁ」

💙「普通に可愛い子は好きだよ?」

コメント欄が一気にざわつく。

「出た!」
「急にチャラい!」
「アクアくん!?笑」

Aquaくんは少し楽しそうに笑った。

💙「いや普通だろ」

💙「男なんだから」

コメントがまた流れる。

「正直!」
「チャラ男!」

Aquaくんは少し考えるように言う。

💙「でもさ」

💙「おとなしい子とかいるじゃん?」

💙「ああいう子」

💙「いじめたくなっちゃうな、笑」

コメント欄が一気に盛り上がる。

「Sじゃん!」
「アクアくん怖い笑」
「わかる!」

Aquaくんは笑いながら続ける。

💙「いやいや」

💙「ガチじゃないから」

💙「ちょっとからかうくらいね」

私はベッドの上で配信を見ながら、小さくつぶやく。

「……いじめたくなる?」

なぜか少しだけ顔が熱くなった。

それから、少し時間が過ぎて――

気づけば。

テスト期間。

教室の空気はいつもより静かだった。

みんな机に向かって勉強している。

「はぁ……」

私は机に突っ伏した。

美咲が隣で言う。

「愛桜大丈夫?」

私は小さく首を振る。

「数学が……」

美咲は笑う。

「それはもう諦めよ」

「えぇ……」

私は教科書を見る。

でも、全然わからない。

「……」

そのとき。

隣から声がした。

「どこ?」

私はびっくりして横を見る。

凛。

「え?」

凛は私のノートを見る。

「詰まってるとこ」

私は少し迷いながら教科書を指す。

「ここ……」

凛は少しノートを見る。

そして小さく言った。

「そこ違う」

「え?」

凛はペンを取って言う。

「公式」

「これ」

私はびっくりする。

「……あ」

凛は少しだけ呆れた顔をした。

「それじゃ解けない」

私は少し恥ずかしくなる。

「ご、ごめん……」

凛は普通に言う。

「謝ることじゃない」

そして少しだけ笑った。

「ドジ」

「っ……」

私はまた顔が赤くなる。