家に帰りつき、自室のベッドに倒れ込む。
カバンからこぼれ落ちたのは、蒼太と撮った唯一のプリクラだった。
中一の夏。まだ私が「意地っ張り」になる前の、一番幸せだった頃。
『陽茉梨、こっち向いて!』
地元のひまわり畑で、蒼太が私の名前を呼んだ。
今よりも少し声が高くて、日に焼けた顔で笑う彼。私はその隣で、ひまわりみたいな色のワンピースを着て、最高の笑顔を浮かべていた。
あの頃の私は、今みたいに可愛くない嘘なんてつかなかった。
転んで膝を擦りむけば蒼太に泣きついたし、嬉しいことがあれば真っ先に彼に抱きついた。
『ねえ、蒼太。大人になっても、ずっと一緒にいようね』
約束なんて、しなければよかった。
期待なんて、させなければよかった。
「……っ、う……」
突然、喉の奥から込み上げる不快な熱さに襲われる。
急いで口元を押さえて洗面所に駆け込むと、白いシンクに鮮やかな赤が散った。
(ああ……、やっぱりダメなんだ。もう、隠しきれない……)
指先で血を拭いながら、鏡に映る自分を見る。
顔色は青白く、目は泣きはらして真っ赤だ。こんなボロボロな姿、大好きな人に見せられるわけがない。
蒼太は、ひまわりが似合う女の子が好きだと言っていた。
今の私は、枯れていくのを待つだけの、名もなき雑草だ。
その時、スマホが震えた。
通知画面には、蒼太からのメッセージ。
【さっきはごめん。でも、明日も一緒に帰るからな。お前の家まで迎えに行く。】
「……ばか。来なくていいのに……」
スマホを胸に抱きしめて、私は声を殺して泣いた。
蒼太が優しくなればなるほど、私の命の灯火が消える瞬間が怖くなる。
明日は、もっとひどいことを言おう。
彼が私を心底軽蔑して、二度と会いたくないと思うくらいに。
それが、私が蒼太にあげられる、最後で最大の愛情なのだから。
カバンからこぼれ落ちたのは、蒼太と撮った唯一のプリクラだった。
中一の夏。まだ私が「意地っ張り」になる前の、一番幸せだった頃。
『陽茉梨、こっち向いて!』
地元のひまわり畑で、蒼太が私の名前を呼んだ。
今よりも少し声が高くて、日に焼けた顔で笑う彼。私はその隣で、ひまわりみたいな色のワンピースを着て、最高の笑顔を浮かべていた。
あの頃の私は、今みたいに可愛くない嘘なんてつかなかった。
転んで膝を擦りむけば蒼太に泣きついたし、嬉しいことがあれば真っ先に彼に抱きついた。
『ねえ、蒼太。大人になっても、ずっと一緒にいようね』
約束なんて、しなければよかった。
期待なんて、させなければよかった。
「……っ、う……」
突然、喉の奥から込み上げる不快な熱さに襲われる。
急いで口元を押さえて洗面所に駆け込むと、白いシンクに鮮やかな赤が散った。
(ああ……、やっぱりダメなんだ。もう、隠しきれない……)
指先で血を拭いながら、鏡に映る自分を見る。
顔色は青白く、目は泣きはらして真っ赤だ。こんなボロボロな姿、大好きな人に見せられるわけがない。
蒼太は、ひまわりが似合う女の子が好きだと言っていた。
今の私は、枯れていくのを待つだけの、名もなき雑草だ。
その時、スマホが震えた。
通知画面には、蒼太からのメッセージ。
【さっきはごめん。でも、明日も一緒に帰るからな。お前の家まで迎えに行く。】
「……ばか。来なくていいのに……」
スマホを胸に抱きしめて、私は声を殺して泣いた。
蒼太が優しくなればなるほど、私の命の灯火が消える瞬間が怖くなる。
明日は、もっとひどいことを言おう。
彼が私を心底軽蔑して、二度と会いたくないと思うくらいに。
それが、私が蒼太にあげられる、最後で最大の愛情なのだから。



