俺らはゲームセンターに来た。市の中でもだいぶデケーところ。
「あ!ラジコンあるじゃーん!」
目を輝かせてクレーンゲームに走っていく姿は、まるで小学生のよう。まぁ元から小学生っぽいけど。
「箱を落とすタイプのクレーンゲームなんて、ただ財布が軽くなるだけだろ」
「ぐぬっ…で、でもさぁ!?やっぱ男ならロマンが欲しいじゃん!?」
慧斗さんのド正論に、唇を噛みながら苦し紛れに反抗する皐月。あ、取れないのは否定しないんだな。
「なぁ真、なんかやろーぜ!」
「でも、俺あんま金ねぇよ?」
「大丈夫だって!キャッチするタイプのヤツは、多分一発でとれる!!」
多分、ね。ふーん……
疑いの目を向けると、皐月は少し唸って…やがて小さい台に近づいた。
「ほらこれとか!動物のちっせーぬいぐみ!」
「皐月…欲しくないものは取るなよ?」
「べ、別に欲しいし!?」
はぁ、と慧斗さんが息を吐くけど…皐月は構わずコインを入れていた。
「ほら、例えばこの猫っぽいヤツとか…」
猫と聞いて、少し気になり台を覗いてみる。そのときには皐月がクレーンの降下ボタンを押していた。
クレーンはその猫をしっかりと掴んだ…ように見えたが、
「あぁ、落ちた!!」
見事に景品がすっぽり抜けて、クレーンはからっぽになってしまった。
「くぅーっ、とれねぇのかよ!!」
すげー悔しそうに地団駄を踏んでいる。
そんな皐月に薄笑いを浮かべながらも、俺は少しその台がら気になった。
猫…さっきのモフモフな感触が、蘇ってくる。
「俺、1回だけやるわ」
「お!?真やるのか!!頑張れー!!」
「珍しいな。いつもは興味ないと言って切り離すのに…」
まぁ確かに、普段の俺なら「やらねぇ」ってすぐに違うところを見て回ると思う。
でもなんか…興味を惹かれたっていうか、なんというか。
俺は興味本位のままコインを入れた。
(猫だけじゃなくて…どうせなら、他のヤツも)
さっき皐月が狙ってた猫に真っ直ぐ合わせる。
それでクレーンの爪の1つをそのぬいぐるみの紐に通し、ワンチャン2つ取ろうっていう考え。
意を決して、降下ボタンを押した。
クレーンはどんどん下にさがり、やがて物を持ち上げ…
_________穴の付近にあったぬいぐるみにも偶然ぶつかり、3個もとれた。
「え、すげー!!3つって!俺0だぜ!?」
自分で言ってて虚しくならないのか?と思ったが、声に出すのはやめておいた。
ちなみにとれたのは猫と犬、それからトラっぽいやつだった。結構いいかも。
「あ、どーせならあと1つ」
「ん?どうしてあと1つなんだ?」
慧斗さんが疑問に思ったらしく、問いかけてくる。
俺は迷わずこう答えた。
「俺ら3人と、霧に。全員にプレゼントしたいって言うか…」
「!…そうか、優しいな」
「そうすか?んまぁもしかしたら余計かもしれねぇですけど…」
こういうヤツが苦手な人…まさに慧斗さんとかは、もしかしたらいらないかもしれない。
その場合、あげても無駄か。
「余計じゃない。仲間から貰ったものはなんでも嬉しい」
「まぁ確かに…そうかもっす」
チームという区切りで決まってなくても、俺らは友達…仲間なはず。
「えー!じゃあオレもやる!!」
そう言った声が聞こえたから振り返ると、皐月が目を離した隙に隣の同じ景品がある台にコインを入れていた。
「じゃあ…俺も」
「わかった。俺は少しだけ、違うところを見てくる」
「りょーかいです」
慧斗さんが菓子のクレーンゲームのコーナーに行くのを見てから、俺はもう一度台に向き合った。
