12時半頃。俺と霧は、皐月たちとの待ち合わせ場所である…駅前へと来ていた。
確か駅前のパン屋だったから、そこに向かう。
すると、楽しげに会話を交わしている皐月と慧斗さんがもう来ていた。
「うわ、もういるじゃん。早すぎ…待ち合わせ1時でしょ?」
「そのはず…うん」
霧が待ち合わせ時間も知ってるのは、2人のどっちかから教えてもらったとして…
確かにはえーや。俺らもちょっと早く着きすぎたのに。
少し近づくと、いち早く皐月が気づいた。
「あ、来た!真ー!!…って、なんで食わせ者まで着いてきてんの!?」
元気に俺に手を振ったかと思いきや…霧を見た瞬間、怪訝そうな顔で叫んだ。
すげーなコイツ。感情ジェットコースターかよ。
「真。ごめんな、奏と出かけたあとで疲れてるだろうに」
慧斗さんが申し訳なさそうに労いの言葉をくれる。俺は慌てて首を振った。
「全然。俺、慧斗さんたちと遊びに行くのもすげー楽しみなんで」
俺が小さく笑みを作ると、慧斗さんも笑みを作ってくれた。
「てか、真!コイツに待ち合わせ場所教えたの!?」
「は?いや、教えてないけど…皐月が教えてたんだろ?」
「え!オレ教えてねぇよ!?」
皐月はバッと、慧斗さんの方を向く。
ただ慧斗さんは驚いたように首を横に振っていた。
「おい食わせ者!お前どうやって知った!?」
「さぁ?ま、誰かさんと同じ手法じゃない?」
「誰かさん…?」
誰だろ。もしかして霧にしか見えない人がいる、とか?その人が教えた!?
「…まさか、な」
誰かがぽつりと呟いた気がして、辺りを見回そうとすると…皐月に手を引っ張られた。
「ちっ、早く行こうぜ真!お前は着いてくんなよ!」
「わかってるよ。んじゃザク、今日はありがと…結果待ってるね」
「あ、おう……」
霧が手を振って離れていく。すると皐月は、また大きな声を張り上げた。
「よし、じゃあまずはパンでも買ってくかー!」
「え、おい皐月…!!」
すげーウキウキしながら、皐月はパン屋へと入っていってしまった。
「すまんな真…腹ごしらえは奏としてきただろう?」
「あ、大丈夫です。まだ腹減ってるんで」
ポテトとナゲットしか食ってねぇから…パンはちょうどよい腹の満たし具合になると思う。
「そうか…じゃ、入るか」
慧斗さんがそう言って、俺らもパン屋へ入った。
