「…すっごく、楽しかった」
カフェを出て、霧が呟く。
「なら…来てよかったな。俺もすげー楽しかった」
「うん。ザクのおかげだよ、こんなに楽しかったのは」
確かに、俺が霧の好きなところに行こう…と言わなかったらこの楽しさも、霧の初めて見る表情も無かったかもしれない。
「今までで、一番楽しかった」
「俺も。霧が猫好きだって知れて、良かった」
なんかの賞で、小さい頃に貰った猫の人形があるし…それプレゼントしよっかな。飾ってるだけだったし。
「…変だなって、思った?」
「え?何が?」
「いや、俺みたいなヤツが猫好きって…おかしいかな」
不安げに顔を下に向ける霧を見て、俺は自信を持って彼に言った。
「んなわけないじゃん!
霧が好きなもの、俺も共感できたし。
男子だからとか…バカにしてきたヤツは、俺が叱る!」
「!…ふふ、ありがとう。やっぱザクが友達で良かった」
きっと…猫は女の子っぽいとか、思ったのかもしれない。だから言わず隠してた。
でもそんなことはないし、好きなことはさらけ出して欲しい。少なくとも…信頼できる友達には。
だって本心を抑え込むって…辛いから。
「じゃ、移動しよっか?待ち合わせ場所」
「あぁ…って、え?」
「ん?どうかした?」
俺は霧の言葉に、違和感を覚えた。だって、
「皐月たちとの待ち合わせ場所、霧に言ったか…?」
少なくとも俺に、言った記憶は無い。
もしかして皐月立ちに伝えられてたか…エスパーとか!?
「さぁ、どうだったかな?」
ワケあり顔で笑う霧に、苦笑いを浮かべるしか無かった。
…あとでエスパーか聞こっと。
