「かっわいい……」
霧のうっとりしたような…今まで聞いたことないような甘い声でそう呟く。
そんな彼が抱えているのは、フサフサの生き物…
「猫って、本当に可愛いんだよね。好き」
にゃーんと、嬉しそうに鳴いた…猫だ。
霧の趣味。それは結構昔から、猫カフェに行くことらしい。俺は知らなかったけど、霧は家でも猫を飼っているそう。
「ごめんね…こんな女子みたいな感じになっちゃって」
確かに、幸福そうなその顔は女子顔負けかもしれねぇ。でもそれが、霧の新たな一面だと知った。
「いやいや、霧が嬉しそうですげーよかった」
俺が微笑むと、霧は少し照れくさそうにした。
すると、腕にふわふわな感触がきた。びっくりして腕を見てみると、猫が体を擦り付けていた。
猫はビビりな気質だから、あんまりグイグイ行くと逆に嫌われる…どこかオタク気質な霧が、さっきそう教えてくれた。
俺が自分から猫に近づこうとしなかったから、なんか気にいられたのか?
「や、やたらと擦り付けて来るな…」
「撫でてあげたら?」
先程とは違う猫を撫でている霧にそう言われる。
うーんまぁ、抱っこするのは初心者の俺には無理だけど…撫でるのはいけるか?
少し考えた末、撫でてやると…猫は心なしか嬉しそうな表情になった気がする。
「あーもう、可愛い…ザクも猫のこと好きになった?」
「え?いやまぁ、好きになったって言うか…」
霧には負けるけど、見ていたいなとは思う…かも。
でも俺の反応が少しビミョーだったからか、霧が拗ねたような素振りを見せた。
「…ちょっとまってて」
霧が床から立ち上がると、そのまま少し本が置いてるスペースへと歩いていった。
そーいや、ここで飯も済ませれるじゃん。猫と触れ合うスペースとは別に、隣にカフェがあるから…そこで食おう。
辛い物あるといいな〜。
ドサッ
ぼんやり考えてると、霧は分厚い本を何冊か持ってきて俺の前へと置いた。
え、てか今『ドサッ』って音した?そんな重いのコレ?
「これ、猫の本。ここは良い本がいっぱいあって助かるな〜」
語尾に音符がつきそうなくらい、上機嫌で跳ねたようなその一言。
まてまて。これは嫌な予感がする。
「さぁ、ザク!これで猫のこと、たーっくさん学ぼうね」
今まで見たことの無いくらいの笑顔でそう行った霧に、なんだか少し寒気がした。
