「あ、ついた!!」
皐月がそう言って、俺は顔を見上げる。彼が指さす先には凄くオシャレなカフェがあった。
「え…ここって」
「このカフェ、美味いんだぜ〜!?オシャレだし!」
知ってる。何度も来たことがあるから。
「…なんでここなの?」
_______霧と一緒に。
霧は俺と同じで驚いているように見えた。その様子を見た皐月が不敵な笑みを作っている。
「んー?お前、明日ここ来る予定だったろ?」
「え…?」
「っ、なんで知って…!」
図星だったようで、霧が怒りを露わにしている。なんとか唇を噛んで抑えているように見えた。
でも…ほんとになんで知ってんだ?
「全部バレバレなんだよ!別にオレらは、お前がいない方がラッキーだったぜ?」
そう言うと、皐月はぷいっとそっぽを向いた。
俺は少し耐えられなくなった。
「なぁ、そーいうのは……」
「大丈夫だよ。ザク」
俺が皐月に文句を言おうとすると、霧が止めてきた。
そして優しい笑顔を俺に向けてくる。
「俺は負けないよ。あんなズルい方法を使ってる人たちに負けるわけない」
「元は、お前が……!」
きっぱりと言い切った霧に、皐月が叫びかけた。だけどそれをぐっと堪えたように、目を伏せた。
多分…皐月は自分でも分かってたんだろう。正々堂々と勝負をしなくていいのか、と。
「…ごめん」
「えー?お前らしくないんだけど。別に行こうよ。このカフェじゃなくても…真を楽しませる方法はいくらだってある」
どこか小さくなって謝った皐月に、霧は優しい声をかける。それは煽るような感じじゃなくて…どこか親しげに。
「食わせ者がいいなら、いいけど」
「いいって言ってんじゃん。ほら行くよ!」
「…あぁ、そうだな!!」
犬猿の仲…だと思ってたけど。もしかしたらそれは、違ったのかもしれない_________
「あ、でもお前の奢りね」
「はー!?自分の分くらい自分で払え!」
「不正は不正だから。知らね、お前のせいだしー」
…いや、全然そんなことなかった。犬猿の仲か。
「……不正でもなんでも、するだろ。大切な人のためなら」
「?…慧斗さん、さっきから浮かない顔だけど……大丈夫ですか?」
さっきから言葉を発さない慧斗さんが何かを小さく呟いたので、声をかける。
俺に話しかけられたことでハッとしたのか、開き直ったかのように笑顔を作った。
「なんでもない。大丈夫だ」
そう言うと、そそくさとカフェへと入っていったので俺も慌てて追いかけた。
