「________真?どした〜?」
名前を呼ばれてハッとする。気づけば、皐月が横から顔を覗き込んでいた。
前を歩いていたであろう慧斗さんと霧も、振り返って心配そうに俺を見つめている。
「な、なんでもない!」
「そ?ならいいや!しけた顔すんなよー!」
急いで誤魔化すと、すんなりと信じてくれた皐月がそう言って、背中をバンッと軽く叩いた。
多分元気づけるためだろう。
「えと、ありが……」
「はーい。暴力は違反でーす」
ちょっと元気が出たから、お礼を言おうとしたら…霧が俺と皐月の間に入り込んできた。
「は?ちょ何する…いたぁ!?おい、やめろっ…!暴力反対!!」
「暴力じゃありませーん。俺が親切に背中をマッサージしてまーす」
霧が皐月の背中を、指でグリグリしている。あの地味に痛いやつ。
必死に逃れようとしてるけど…霧の方が背が高いため、逃げ場がなさそうだった。
「おい、一応街中だぞ?場所を考えてくれ…」
「ほら。暴れんのやめろって」
「お前のせいだろーが!!」
ギャーギャー騒いでる様子が、最初は少しうっとうしく感じちゃったけど…
見慣れたあとは、もう微笑ましいと思ってしまう。自然と笑いが零れてしまう。
だからこそ、俺は“どちらか”を選ぶ苦痛が嫌だった。
バトルはしたいけど、明日が来て欲しくないなんて矛盾を起こしてしまうくらいに。
