ただいま、チームで取り合い中。



真が居なくなったあと、俺は部屋に戻って座り込んだ。
さっきまで賑やかだったこの部屋は、もぬけの殻のように静まり返っている。


「ほんっと純粋だな、アイツは」


眼鏡を乱暴に取り、ベッドに投げつける。
そして髪をかきあげて目にかかっていた髪を退けた。


「…俺は、そんないい人間じゃねーよって話」


鏡に映る俺は、完全に“不良”。いつもみんなの前でいい子ぶってる篁 慧斗とはかけ離れていた。…ま、いつも家ではこれだけど。

期待される人間になりたかった。その為にはどんな嘘だって平気で吐いてきた。そして出来上がったのが…今の俺。


「奏より俺の方が食わせ者で、猫被りだ」


霧ヶ崎 奏。皐月からその名を聞いてから、すぐに彼の情報について調べる…情報屋のようなことをしていた。丁度チーム脱退の知らせが届いていたから、少し調べやすかった。

…ま、これも元生徒会長の権限っていうか。
適当な事情で生徒情報を貰ったし。中等部の教師が勝手に信頼してくれてて助かった。

そっから、奏の友人らしき者たちにも聞き込みしたり…秘密組織のスパイみたいなこともした。


ま、それで分かったものの中には…個人情報もある。
いざとなれば脅しの道具にもなるし、便利なもの。

なーんて、最低だよな。脅しって。

あとは人間性とかもな。好きなことにはとことん力を入れる闇深い人間だって。
奏の父親が、神内学園のお偉いらしくて…真と一緒のクラスになるために手を回していたそう。

…ま、俺と腹黒さはいい勝負してるか。


「…真は知らない。
ここまでが全部、俺の計画だったってことも。

俺らがお前に、どんだけ賭けてるのかを」


彼を勉強に誘ったのはもちろん、先程の会話すら。少しは俺に同情してくれただろう。

全部ぜーんぶ、自分の好感度をあげるため。


だって…俺はアイツが、チームメイトの奴らが大切だから。

絶対に離れて欲しくないから。