「バトルすることになったのはいーけどよ……」
皐月がバックを片手に、唇を強く噛み締めながら不満げに言って。それから……
「なんで食わせ者と帰んなきゃなんねーんだよ!!!」
叫んだのだった。
「いいじゃねーか…仲良くしようぜ?」
俺がそう言うと、皐月は渋々…てか苦い顔をして頷いた。
でもきっといつか、犬猿の仲となってる2人も仲良くなる日がくるかもしれない。それこそなんかの魔法でスゴい仲良くなって…!!!
俺は平和が好きだし、そうなって欲しいなって思う。
「………」
いつも笑顔で俺に話を持ちかけてくれる霧は、こくりと黙り込んでいた。
もしかして、なんか秘密組織に悩んでるのか…!?なんてことがあったらヤバいけど、本当は皐月と帰るのが嫌なんだろうな。
って言っても、最近は全部活が休みだし…そのバトルは日曜日。今日は水曜日だから、あと2日は多分このメンツで帰ることになるけど。
てか、気になったんだけどさ…
「くわせもの、って…なに?」
皐月はずーっと霧のことをそう言うけど、なんだろう。漢字はどうやって書くんだ…?
なんか食って感じが使われてそうな気がするから、ワンチャンいっぱい食べる人?霧は確かに食欲旺盛だけど…
「あぁ、真!食わせ者ってのはな…!!」
「褒め言葉だよ。なんでかいっつも褒めてくれるんだヨネー」
「へぇ…そうなんだ?」
なーんだ。褒め言葉をいつも言ってるってことは、思ったより仲良いのな!じゃあ仲良くなるのもそう遠くない話なのかも……
「お前…!そーいうのが食わせ者なんだよ!!」
「ん?物腰柔らかく接してるとこ?そんな褒めなくてもいいのにー」
「腹立つッ…!!」
これもじゃれあい…相当強いじゃれあいと言われたら、そうなのかも…?
いつか素直に言えるようになればいいんだけどな。
「…食わせ者。表向きは善良、裏向きは他人を騙す悪党…か」
「?慧斗さん、なんか言いました…?」
ぽつりとなにかを呟いたような気がして、俺は質問してみる。
「…いや、なんでもない」
結局またはぐらかされてしまったので、気になったけどそっとしておこう。
…なんか1番闇が深いなって、思ってしまった。
「…俺にぴったりな言葉、だな」
その小さい呟きは、俺に届かなかった。
