「でさ!その食わせ者、真のチームメイトって言い出すんだぜ!?」
「おい、さっきから『食わせ者』としか言ってないんだが…名前もちゃんと言ってくれ」
やれやれとため息を吐いた慧さんに、確かにと納得する。
放課後。空っぽになった高等部の1-Cの教室にこっそり来ていた。ちなみに1-Cは、慧さんのクラス。
そしてオレは地団駄を踏みながら、昼休みの出来事を慧さんに伝えてるとこ。
ちなみに慧さんはオレが真に会いに行ったことすら知らなかったから、驚いてたし…最初にすげー怒られた。
「えーと確か…キリガサキ ソウ?だっけ?」
「奏?あぁ、昔真から聞いたことがある。仲のいい友人だって言ってたな」
慧さんの言葉に驚く。嘘、真ってアイツの話したことあったの?オレ居たのかな…覚えてねー。
「でも、そうか…。チームメイト、な」
慧さんが呟く。
その言葉の言い方には悔しさが含まれていて、なんかドス黒いオーラが見える気もするけど…。
「確かに彼がそう言ってしまうと、真も信じるだろうな。実際彼のことは覚えているらしい」
「そこなんだよなー。なんでオレらだけ…!」
…真のかーちゃんから、聞いた話があった。
『真は…皐月くんたちチームメイトのこと、チームのこと。その全部を忘れちゃったらしいの』
『ストレスによる記憶障害らしいけど…』
オレは真のかーちゃんと結構な頻度で会っていたから、面識もある。それでオレに連絡をくれた。
…初めて聞いたとき、オレは暴れた気がする。
んで、今日久しぶりに顔を合わせた。多分数ヶ月ぶりだと思う。真に会いにいったら、きっと記憶は元通りになってる。そう、オレは自分に言い聞かせて会いに行った。
________でも、彼の瞳に映るオレは全くの他人だった。
「んで…どうするんだ?」
「え、なにが?」
「なにって…真のこと。またチームに戻って欲しいんだろ?」
「そりゃ当たり前だろ!!アイツのチームメイトは、オレらだけ!」
真と、オレと、慧さんと………
そこまで考えてオレの思考は止まった。
「…真のことも、そりゃ考えるけどさ」
「あーくんとは、連絡取れてねぇんだよな?」
オレが聞くと、慧さんは言葉に詰まるように肩をすくめた。少しして振り絞るように、オレの問いに答えてくれる。
「…あぁ、取れてない」
目を伏せて、1つ1つ繋ぎ合わせるように言葉を発してくれる。
「だが学校には来てるそうだから、会えると思っていたんだが…」
そこまで言って、慧さんは話すのを止めた。
…あーくん。オレら“4人組”のチームメイトの1人。真とオレ、慧さんとあーくんで今までいつも遊んでた。
ただ、今は連絡も途絶えている。
慧さんも言った通り、学校には来てる。だから見かけることはあるけど、対面で会えてない。
「…そっか!」
オレは大きな声で返事をする。
こんなとこでしけてても意味ねぇし、今は真の記憶を戻す方法を考えないとな!
「んじゃ、考えようぜ!真の記憶を戻すために、オレらが何をするか!」
「…ほんと、切り替え上手だな」
はは、と優しい笑みを浮かべた慧さんにオレは首を傾げた。
「切り替えっつーか…真が戻ってこれば、真大好き人間のあーくんも戻ってくるだろ!そーいうこと!」
あーくんは、ホントに真に懐いていた。でもオレも真と仲良かったし!!あーくんに負けないくらい、真のこと好きだからな!?
「そうだな。じゃあ考えよう」
慧さんも同意してくれたところで…
オレらは“真の記憶を取り戻そう作戦”を考えることにした。
