「はぁ!?お前、何言ってんの!?」
そんな大声を発したのは、俺ではなく飛葉だった。
今にも飛びかかりそうな勢いで、霧へと詰め寄る。
俺は動揺しすぎて、逆に声も出ず立ち尽くした。
「何って…事実を述べてるだけ」
「おまっ、真の記憶がねぇからって勝手なこと言ってんじゃねぇよ!!」
頭が大パニックの中、聞こえた飛葉の言葉にまたドキリとする。昨日もそうだった。昨日も“記憶”って単語が、コイツの口から飛び出してきた。
「…なぁ、1つ聞かせてくれ」
「ん?どうしたの、ザク」
飛葉に睨まれながらも、俺に視線を向けてくれる霧。
チームメイトの話もすっげー気になった。だけど、先に知らなきゃいけないことがあると、何故か悟った。
「俺…なんか、忘れてんのか?」
「っ……」
やっぱり、そうなんだ。霧が顔を歪ませたので確信がついてしまった。
もし俺が知らない“何か”があったのだとすれば、俺にチームメイトがいないのも少し納得ができる。
母さんが何も言ってくれなかったことは…少し違和感があるけれど。
「…うん、まぁそう」
「今、俺言ったでしょ?『覚えてないかもしれないけど』…って」
「まぁ今までの反応見てたら、分かりきってたけど」
そう言って、悲しげに笑った霧に…ズキンと心が痛む。
だって、俺は“チームメイト”なんて重要なことを忘れてたんだし……
流石に嘘を吐いてるなんて思いたくないし、霧はそんなこと絶対にしない。きっと俺が1番わかってる。
「うぉい!!お前さ、ほんとなんなの!?」
痺れを切らしたかのように、俺と霧の間に飛葉が割り込んできた。
「勝手に『自分はチームメイトでした〜』って…馬鹿じゃねぇの!?証拠は!?」
「確かに証拠は何1つないけど…それは君だって一緒でしょ?」
「ぐぬぬ……」
…ただ、理解できないことは。
“なんで霧と飛葉が言い争っているのか”
言い方的に、2人は初対面ぽかったから…2人でチームを組んでいるわけじゃないだろう。霧のチーム事情はあんまり知らねぇけど。
でもそれは俺が、霧とチームメイトか飛葉とチームメイトかっていう対立ができてしまう。
ってことは…
(どっちかが…嘘を言ってる、のか?)
それが俺の辿り着いた結果論だった。
