「真ー?ご飯よー」
母さんの声で、ハッと目が覚める。
俺…寝てたのか。
「っつ……あ、あ」
返事をして、ソファーから起き上がる。ダイニングテーブルの方を見ると、湯気がたっている美味そうな麻婆豆腐があった。
てか…また変な夢を見た。
知らない奴が、俺と仲良くしてる夢。
内容はまた曖昧だけど、苦しくて悔しくて…辛い夢だった気がする。
「…いただきます」
スプーンを手にとって、ご飯と麻婆豆腐を口に運ぶ。
ピリッと辛い味が、口の中に広がった。
「…ねぇ、真。1つ聞くね?」
「ん、どした?」
さっきの夢をなんとか頭から追い払って、いつも通りを装う。母さんに心配はかけたくない。
「今日……楽しかった?」
母さんが聞いてきたことに、麻婆豆腐を口に運ぶ手が止まった。
今日が楽しかったか…?今日、か。
「…わかんねー。疲れた」
俺のチームメイトだと名乗る奴が現れたり
友達の様子がどこがおかしかったり
変な夢をいっぱい見たり。
楽しかったか、と言われたら…わからない。
自分の気持ちなのに、自分のじゃないみたいな…
「そっか……」
母さんはそれだけ言うと、パクリとスプーンを口に運んだ。それを真似するように、俺も同じことをする。
「あ、そうだ!明日は本当に卵がセールなのよね〜♪」
「えマジ?」
「うん!だから真が好きなオムライス、作ろっかな!」
空気を切り替えるように明るく言った母さんの言葉に、純粋な気持ちで喜んだ。
「卵のセール当てるなんて…正夢を見る力でも持ってるのかしら、うちの子」
「まぁ1日ズレてるけど…」
「か、母さん!恥ずいからっ…もういいだろ!」
食卓には、2人の笑い声が響いた。
