「ただいまー」
靴を脱ぎながら、そう言う。
すると「おかえりー」と、母さんの声が返ってきた。
いつもならこの時間は仕事でいないが、今日は早く終わったのだろう。
…あ、そーいや卵セールだっけ?
「なー母さん、今日の晩メシなに?」
「ん?今日は…麻婆豆腐にしようかなって」
「え…卵料理じゃねぇの?」
俺がそう聞くと、母さんはきょとんとした。
あれ…凄いご機嫌だったから卵がセールなのかと思ったけど、そんなこともなかったみたいだ。
じゃあなんでご機嫌だったんだ…?
「まさか…また勝手に妄想してたの?」
「な、べっつに〜?」
図星を付かれて、必死に誤魔化す。
でも母さんは普通に信じてくれなかった。酷い。
俺がスマホを触りながらソファーでごろごろしてると、少しして麻婆豆腐のいい匂いが漂ってくる。
