あの花が枯れた時。それは私の死でした

「桃乃さん。はよー」

私は昨日から金田くんと仲良くなった。

いや、正確に言えばまだ仲良くはなっていない。

だけど少しだけ話してみようと思ってしまった。

「…おはよ…ございます」

金田くんが笑いだした。

「ぷっ……桃乃さん敬語いいって笑」

私は金田くんを睨んでそのまま読書をした。

「なぁー、何それ」

横を見るととてつもなく金田くんの顔がドアップ。

私は机と椅子を離した。

「えぇ〜。」

「おい、咲。もっと桃乃さんの気持ち考えろ」

そーだそーだ。私の気持ちをもっと考えて。

そんなドアップされた私の気持ちも考えて欲しい。

「えー、人の気持ちなんてわかるわけなくね?」

「そーだな、お前には無理だは」

「は?!何その言い方!酷くね?!」

そして二人の言い合いが始まった。

喧嘩するほど仲がいいってやつだねきっと。

そして昼休み。

私はいつも通り花を持って屋上に向かった。

途中で花に水やりをした。

今日の空は青だ。雲ひとつない綺麗な青。

気持ちよすぎて眠ってしまいそう…

「おい〜。そんなとこで目瞑ってたらほんとに寝てしまうぞ?」

うるさっ。好きにさせてよ。

目を開けると金田くんが隣に座っていた。

私は起き上がると伸びをした。

もう金田くんがここにいることが毎日ありすぎてなんとも思わなくなってしまった。

「あ!やっぱりここにいた」

扉の方を見ると黒くんがこちらに向かって歩いてきていた。

「あ、とはじゃん」

金田くんは笑顔で黒くんを迎えている。

「桃乃さんも、こんなとこで何してたん?」

私は別に何もしてない。休憩してただけだし

「桃乃さんは俺とお話してたの」

ウィンクして、さらに手が肩に触れられて私の自体は震えて2mほど離れた。

「咲…お前キモイな」

「はぁ!?なんて言った?もう一回言ってみろ!」

金田くんが黒くんを追いかけ回していた。

黒くんも金田くんも楽しそうでなんか幼稚園のことを思い出してしまった。

昔もこうして他の子が走り回ってるのを遠くで見てたな…

懐かしい。

「桃乃さんもやる?」

え?

前を向くと金田くんがニカッと笑ってきた。

「やるわけないだろ。こんなくだらない遊び。それにもうおしまい」

その瞬間チャイムがなった。

「ほら、咲、教室戻るぞ…桃乃さんも」

そして二人は屋上を去っていった。

私は二人の背中を見送ったあとに教室に戻った。

席に着いた時にはほんとギリギリだった。

あ!!まずい…花を屋上に置いてきちゃった…

「桃乃さん。なんか顔色悪いけどどした?」

「あ、…」

それ以上の言葉は声には出てくれなかった。

「桃乃さん、ちょっとまってて」

そして金田くんは教室を飛び出して行った。

え?あと一分でチャイムなるよ?一体どこに…?

「はーい、英語始めるぞー」

金田くんが去った二分後くらいに先生がやってきた。

「あれ?金田は?」

「先生〜!どっか行きました」

「たくっまぁいいや、とりあえず進めるぞー」

どうしよ、私のせいで金田くんの成績が…。

そしてどんどん授業が進んでいった。

私はその間全く集中出来なかった。

チャイムがなり終わってから数秒後に金田くんはかえってきた。

「はい、桃乃さん。これでしょ?」

そして持ってきたのは、私がいつも持ち歩いてる花だった。

なんでわかったのかは意味がわからなかった。

「あり…がと…」

「ん」

金田くんは席に座った。

黒くんが来て頭を叩いた。

「いてっ…おいとは!何すんだよ」

「お前な、バカか。留年するぞ。桃乃さんのこと心配なのはわかるがちょっとは自分のことも心配しろ」

私の心配…?何を言っているの黒くん。私のこと心配してるわけないでしょ。

「おーい、金田。ちょっと」

さっきの英語の先生が戻ってきて金田くんを連れ出した。

黒くんは金田くんを見送ってから自分の席に戻っていった。

「あ、あの…」

私は放課後に金田くんに話しかけた

「ん?どした?」

「ごめんなさい…」

「は?なにが?」

私はそのまま走り去ってしまった。

「てか…聞いたかとは!」

「なに?」

「桃乃さんが自分から話しかけてきたぞ!?やばくない?これ記念だよ記念」

「これを記念するやつがどこにいるんだよ」



はぁ、はぁ、はぁ、き、緊張した。

胸を抑えながら息をした。

やっぱり話しかけるべきではなかった。私にはまだ早い。ほっといた方が良かったのかも。

「あら花、おかえりなさい」

「…ただいま」

そして自室に戻った。

「ご飯」

少し勉強してから色葉にご飯呼ばれたので私はリビングに向かった。

「ねぇー、お母さん。私今度彼氏とご飯食べてきていい?」

「どこ行くのよ」

「えっとー、まだ決めてない」

「決めてから言いに来なさい。否定はしないから」

色葉がぱぁーっと顔を輝かせた。

青春だね。

色葉は彼氏がいて毎日楽しそうで…

「花には出来るわけないもんね笑彼氏とか」

「花地味だしなんも話さないもん笑」

そう、その通りだ。

図星すぎて返す言葉が見つからない。

それに見つかったとしてもそれを口にすることはない。

それと、彼氏とか幸せとかいらない。必要ないから。

「こら、色葉。そんなこと言っちゃダメでしょ」

「えぇー、事実言っただけなのに」

ぷぷっと色葉が笑ってお皿を片付けに行った。

「花、気にしなくていいのよ」

「…別に」

気になんてするわけない。言いたいだけいえばいいよ。色葉は事実しか言ってないんだから。

「桃乃さん!おはよーん」

次の日、机で読書をしていたら金田くんが来た。

隣を見てみると黒くんも一緒だった。

「よっ桃乃さん。」

私は一例してまた読書に戻った。

「はーいそんじゃあ国語初めて行くよー」

1時間目のチャイムがなり先生が入ってきた。

今日の授業は遊びらしい。

「ほんじゃあ、さんずいの漢字を思い浮かべてください。被ったら負けです」

私が選んだ漢字は……「源」。

被らなきゃいいけど…

「桃乃さんなんの漢字したのー?」

隣から話しかけてくる金田くんの声。

てか、漢字って教えていいの?ダメじゃない?

「咲〜。これ教えちゃダメなんだよ?」

後ろの席からクラスメイトが話しかけていた。

そして、金田くんは驚いた顔をした。

みんなが立ったあと、順番にそれぞれ思い浮かべた漢字を言っていく。

減、沙、消、流…とどんどんいって言った。

そして私の番が来るまで源という漢字は出なかった。

私が言い終わると座ったのは…

「お、桃乃さん一緒の漢字?!」

金田くん。ただ1人だった。

まさか金田くんと思い浮かべた漢字が被るなんて…

一時間目の授業が終わり、私は後ろに置いてある花をもって教室を出た。

廊下を歩いていると、私の視界に入る人がみんな私のことを気持ち悪いと言っていた。

私は下を向きながら何も考えずに歩いた。

教室は色が明るいのに教室を出ると全て電気を消したみたいに暗くなる。

花に水やりをしてから急いで教室に戻った。

一呼吸して、私は勉強をしようと教科書を開いた。

「桃乃さん、勉強してるの?偉いね」

隣を見ると金田くん…じゃなくて黒くんがいた。

「あ、…えっと…」

「おーいー、とは〜。俺の席とるなー」

その後に教室のドアから金田くんが入ってきた。

黒くんは金田くんが来たあと席を離れた。

横を見ると金田くんがなんか食べていた…

「咲、それなに?」

「あ〜これ?飴〜いる?」

そしてひとつ飴を黒くんに渡した。

「桃乃さんもいる?」

そして私の目の前にひとつ飴が置かれた。

私はそれを食べるではなく、ポケットに入れた。

「てか、咲が飴とか珍し〜」

「そうか?別に普通じゃね?」

飴食べるの珍しいんだ。

放課後私は今日も人一倍早く教室を出た。

廊下を歩いているとやっぱりみんなの視線が痛い。

「あいつガチキモイよな」

「不気味」

そんな声がちらほら聞こえてきて下を向く。

大丈夫。大丈夫。そう言い聞かせながら早足で学校を出た。

前を見るとやっぱり世界は薄暗い。

教室にいる時は明るかったのに…

「私夜彼氏とご飯食べてくるから」

家に帰ると色葉と鉢合わせてしまった。

色葉はそれだけゆうと階段を登り自分の部屋へと入っていった。

私はため息を吐いてから自室に戻った。

教科書を開いて勉強を始める。

なんだかいつもより集中出来なかった。

「花〜ご飯よー」

お母さんが自室に入ってきた。

「あら、寝てたのね」

私はいつの間にか寝てしまっていた。

「花、起きなさい、ご飯よ」

そして私の体は揺らされ、起こされた。

「ん…お母さん?」

「あら、やっと起きた。ご飯よ早く降りてきなさい」

お母さんはそのままリビングに行ってしまった。

私は背伸びをして、そのままリビングに向かった。

今日は色葉が彼氏とご飯だからお母さんと二人きりだ。

「花、こんどみんなでどっか出かけましょうか」

「…うん」

「どこか出かけたいところはない?」

「…ない」

「そっか。わかった」

私は食べ終わったお皿を洗った。

「…先お風呂入ってくるね」

私はバスタオルと、着替えを取りに一度自室に戻った。

…温かい。

お風呂の温かい温度が全身にぶわぁーっと伝わってきてとてもホカホカする。

お風呂から上がり髪の毛を乾かした。

「ただいま」

後ろから色葉が手を洗いに入ってきた。

色葉の顔がいつもより緩んでいた。

きっと彼氏となんかあったんだろう。

髪の毛を乾かし終わり、私は自室に戻った。

窓を開け、星を見あげた。

夜の風が寒い…。だけど、すごく気持ちいい。

「♪」

あ、まただ。また歌声とギターの音。

一体誰が弾いているんだろう。

数分聞いたあと私は扉を閉めて眠りについた。

朝起き、時計を見ると朝の十時だった。

どうやら結構寝てしまっていたらしい。

「花、おはよう」

そして、朝ごはんが出された。

目玉焼きに、サラダ、ご飯。

いつもと変わらない朝ごはんだった。

「はぁー。おはよう」

あくびをして起きてきた色葉。

なんだか寝癖が酷い。

「色葉、ちょっと鏡みてきたら?寝癖酷いわよ?」

「へ?!今日彼氏と会うのにそれはまずい!!」

色葉は今の言葉で目が覚めたのか、急いで洗面所に向かっていた。

私は黙々とご飯を食べすすめた。

「ただいま〜」

ドアの方を見てみるとまさかのお父さんがいた。

「あら、今日は休みなのね」

「あぁ。」

そしてお父さんは、椅子に座りコーヒーを飲んだ。

「おぉ、花。元気してたか?最近仕事が忙しくてなかなか顔合わせられなくてごめんな」

別に大丈夫だけど…

「あ!お父さん!」

洗面所から帰ってきた色葉がお父さんに抱きついた。

「おぉー、色葉、元気してたか?色葉はいつまで経っても甘えん坊だな〜」

えへへっと色葉が照れた。

私は食べ終わり、お皿を持って洗いに行った。

私は自室に戻り、一日中勉強をした。

「花、ご飯だぞー。」

今日は珍しく、お父さんがいるからお父さんが私を呼びに来た。

私は立ち上がってお父さんの横を通り過ぎ、リビングに向かった。

「ねぇー、お母さん聞いてー!」

「今日ね、彼氏とあったらキスされちゃったの…」

あぁー、めっちゃ悪いタイミングできてしまった。最悪だ。

「えぇー!良かったじゃなぁーい」

はぁー。私は椅子に座りご飯を口に運んだ。

色葉は浮かれているのかとてもニコニコしていた。

いや、正確に言えばニヤニヤだ。

食べ終わったお皿を洗っていたら色葉が来た。

「花〜。これよろしく」

私にだけ聞こえるようにそう言ってリビングを出ていった。

私は小さく呼吸を吐いて、色葉の分まで洗い物をした。

お父さんとお母さんの方を見てみると、なんだか楽しそうに話していた。

お母さんの顔が幸せそうな顔をして私まで少し嬉しくなる。

色葉の分も洗い終わったあと寝る準備をしてから眠りについた。

勉強した疲れもあってか、すぐ寝れた。

「花〜。おはよう」

「…おはよう」

昨日、お父さんが帰ってきて余程嬉しかったのかお母さんの機嫌はいつもに増してとても良かった。

「私今日カフェで勉強してくる」

朝ごはんを食べながらお母さんに聞こえる声でそう言った。

「そなの?行ってらっしゃい。」

「花が休みの日に外出るとか久しぶりだわね」

お母さんは嬉しそうに微笑んだ。

「色葉は彼氏と海に出かけたわよ」

聞いてもないこと言われて気分が悪くなった。

色葉の事情とか、別に知りたくないし。

「…そなんだ」

そして私は、準備をしに自室に戻った。

カバンに、教科書、ノート、筆箱、お金、スマホ、そしてお花を入れて、家を出た。

散歩していると鳥の鳴き声や、太陽の温かさが伝わってきてとても気持ちいい。

そして着いたカフェ…「豆」だ。

カランコロン。

「いらっしゃい〜!空いてる席どーぞ」

一礼して、空いてる席に座った。

お昼になり、休憩がてらにオムライスを頼んだ。

んー、美味しい。

オムライスを食べているとカランコロンとドアの音が鳴った。

そちらに目を向けると、黒くんと金田くんがいた。

驚いて、姿がバレないように下を向いた。

なのに、二人は私の姿を見つけてしまった。

「桃乃さん!!」

ニコニコで駆け寄ってくる金田くん。

「桃乃さんもお昼食べに来たの?」

その後ろから黒くんが現れた

そして黒くんは私の手元に目線を落とした。

「え?勉強?偉いね」

そして二人は私の前の席に座った。

私は下を向いて目を合わせないように気をつけて黙々とオムライスを食べ進めた。

「…お前気持ち悪い」

黒くんが金田くんの頭を叩いた。

「いって…何すんだよ〜」

私は顔をあげることなく食べ進めた。

そして食べ終わってから席を立ち、お皿を返しに行った。

戻ってきてからまた勉強を始めた。

前から視線が伝わる。

前を向くと金田くんと目が合った。

私はびっくりしてすぐ下を向いた。

「え?!なんで下向くの?ねぇ…桃乃さん」

顔が近づいてくるのがわかる。

「おい、咲。」

黒くんが金田くんの服を引っ張って椅子に引き戻す。

金田くんは拗ねた。

「…ごめんなさい」

そう小さい声で言った。

「「え?」」

二人が同時にこちらを向いた。

すいません。すいません。

声小さくてごめんなさい。下向いてすいません。

握る手に力が入った。

「桃乃さん」

隣で優しい声が…誰?

顔を上げて隣を見ると黒くんがいた。

「気にすることないよ。咲はああ言うやつだからさっ。ちょっと人との距離が近いんだよ笑

でもちょっとキモイよねー」

「うんうんってえ?」

「おいとは!キモイって何?酷くない?ねぇ。桃乃さん」

金田くんがこちらを見た。

「え?桃乃さん笑ってる?え?」

肩が震えている。笑いを堪えているのだ。

金田くんがグイッと顔をちかづけてきた。

私はその瞬間椅子をすっとひく。

「おい。咲そうゆうとこだぞ。」

金田くんはチェっと言って普通に座った。

椅子を元に戻して勉強をする。

そして昼の三時。私は荷物をまとめた。

カバンを肩にかけて二人を見ようと思ったが見れなかったから下を向いたまま。

「あ、あの。私はこれで」

頭を下げて急いで豆から出る。

ドアを開けて中に入る。

そして自室に。

ベッドに横になって天井を見つめる。

はぁー。疲れた。てかなんであんなタイミングで金田くんと黒くんと会うんだろ。

タイミング悪すぎ。

はぁー。

「__て!」

なんだろ。遠くから色葉の声が…

バッと起き上がった。隣を見ると色葉がいた。

え?なに?

「いつまで寝てんの。ご飯だから」

バン!

ドアが勢いよく閉められた。完全に怒ってる…