空白の卒業アルバム

四月の終わり、放課後の図書室に、また雨が降った。

三年生になった結月は、窓際の棚の前で一冊の本を抜き取る。
表紙には、少し古い星空の絵。
どうしてそれを選んだのか、自分でもよくわからない。

ただ、なぜか、その棚の前に立つと落ち着いた。

閲覧席に座り、本を開く。
胸ポケットから取り出した古い栞を、ページの間にそっと挟む。

誰にもらったのか、まだ思い出せない。
けれど、失くしたくないと思う。
それだけは、ずっと変わらない。

窓を打つ雨音が、図書室の中へやわらかく落ちてくる。

その音を聞いた瞬間、結月の胸の奥が、どうしようもなくやさしく痛んだ。

理由はわからない。
思い出せる顔も、名前もない。

それでも。

雨の日の図書室は、なぜか少しだけ、あたたかかった。