肌寒くて甘い話。

もう肌寒くなったプールサイド。

私は掬った水を返そうとして水を溢した。

…それは間違えて奏真|(そうま)の頭に。



「ご、ごめん」

「…いい?」



そう言われてドンと来い!と両手を広げる。

奏真の掬った水は私の顔には全く届かなかった。

これでは公平ではないとプールに飛び込む。

そのままザブンと音がして、プールの水を感じた。

と、同時に奏真に抱き抱えられた。



「ありがと」

「…」



短い沈黙の後、奏真がくすぐってくる。

思わず溢れる笑い。

そして迷わず反撃。

バカみたいに笑いあった後、奏真と向き合う。



「ちょっとこれは女の子にすることじゃないでしょ~?」

「ははっ、いいでしょ」

「ああ~、馬鹿だなあ」



青春は時に甘くて、春のプールは肌寒い。

肌寒くて甘い2人の話。