「私は、早瀬楓(はやせかえで)と言います。今日はどうしてもお話したいことがあり、この場に立っています。私は松村さんに救われました。最初に社長を殴ったのは私です。私は、以前社長に性被害を受けました。今、お腹にいる子はその時にできた子供です。お腹に子供がいると分かった時どうしても、堕ろすことができませんでした。私の中にできた命を殺せませんでした」
女性はポロポロと涙を流していた。それでも話すのを辞めなかった。
「あの日、私は社長にお腹の子供のことを話し、お金を貰おうとしました。この子を、産むのにも、育てるのにも本当に沢山のお金がかかると思ったんです。でも、社長はお金をくれるどころか、もう一度私を犯そうとしました。信じられなかった。気がつくと私は社長を近くにあった壺で殴り殺していました」
傍聴席の人々が息を飲む音が聞こえた。
「私は、怖くなって、社長室から走って逃げ出しました。でも、ほかの社員の人達に見つかってしまったんです。血まみれの私を見た社員たちは、私が社長室の方から来たのを見て、私の腕を引っ張って社長室まで戻されました。その時の、みんなの怒声を今も忘れられません。そこに松村さんがやって来たんです」
「黙れ!」
松村海汰が叫んだ。
そばにいた弁護士のような人に静かにするように注意されていた。
「話させてください。もう逃げません」
女性は松村海汰をしっかりと見つめてそう言った。
「私は、松村さんに助けを求めていました。そして、松村さんはその場にいた人たちを全員刺しました。私は、止められたのに止めませんでした。この人に全部罪を被せてやろうと思いました。でも、社長室中が血まみれになった頃、松村さんが私に言いました。お腹の子を大切にって。私はそれに甘えました。お腹の子を守るためだとか言い訳してたまたま殺害現場に居合わせたフリをしました」
女性は深々と頭を下げた。
「松村さんは死刑になるべき人ではありません。死刑にするなら私を死刑にしてください」
松村海汰は下を向いていた。
結局、女性は正当防衛でなんの罪にも問われず、松村海汰は死刑になった。
あの女性の必死の訴えはなんにもならなかったのだ。
女性はポロポロと涙を流していた。それでも話すのを辞めなかった。
「あの日、私は社長にお腹の子供のことを話し、お金を貰おうとしました。この子を、産むのにも、育てるのにも本当に沢山のお金がかかると思ったんです。でも、社長はお金をくれるどころか、もう一度私を犯そうとしました。信じられなかった。気がつくと私は社長を近くにあった壺で殴り殺していました」
傍聴席の人々が息を飲む音が聞こえた。
「私は、怖くなって、社長室から走って逃げ出しました。でも、ほかの社員の人達に見つかってしまったんです。血まみれの私を見た社員たちは、私が社長室の方から来たのを見て、私の腕を引っ張って社長室まで戻されました。その時の、みんなの怒声を今も忘れられません。そこに松村さんがやって来たんです」
「黙れ!」
松村海汰が叫んだ。
そばにいた弁護士のような人に静かにするように注意されていた。
「話させてください。もう逃げません」
女性は松村海汰をしっかりと見つめてそう言った。
「私は、松村さんに助けを求めていました。そして、松村さんはその場にいた人たちを全員刺しました。私は、止められたのに止めませんでした。この人に全部罪を被せてやろうと思いました。でも、社長室中が血まみれになった頃、松村さんが私に言いました。お腹の子を大切にって。私はそれに甘えました。お腹の子を守るためだとか言い訳してたまたま殺害現場に居合わせたフリをしました」
女性は深々と頭を下げた。
「松村さんは死刑になるべき人ではありません。死刑にするなら私を死刑にしてください」
松村海汰は下を向いていた。
結局、女性は正当防衛でなんの罪にも問われず、松村海汰は死刑になった。
あの女性の必死の訴えはなんにもならなかったのだ。
