死なないで

これで、海汰くんは誰も殺さなかった。

要も、きっと自殺なんてしないだろう。

「紗夜!」

駆け寄ってきた要に抱き抱えられた。

「救急車、呼んだから。ありがとう。海汰を人殺しにしないでくれて。紗夜!目を開けて」

必死に力を振り絞って目を開けた。

「要」

要の後ろに海汰くんもいた。

「要。死なないで。死なないでね」

海汰くんを人殺しにできない。

私は、海汰くんの起こした火事で死ぬ訳には行かない。

力を振り絞って、要の腕の中から抜け出した。

そのまま、這いずるようにして、崖の端へ向かった。

「紗夜!何してるの!」

要に体を掴まれた。

「離してっ!」

要が手を離す。

ほんとに要は押しに弱いな。