白空と蒼い瞳 〜メガネカチカチ王子さまは実は恋の罠でした〜

死角の影の廊下に壁に追い詰められて、複数のガタイのいい人たちに細い男の子が囲まれている。

ボロボロになりながらゆっくりと肩を上げ下げして呼吸をしている長身で細い男の子をみて、ぎゅっと胸が痛んだ。


男の人という言葉と、いじめという言葉が頭のなかで交差して、反射的に影に隠れる。


こ、怖い。


「浜辺さ、お前がやったこと、わかってる?」


へ、は、浜辺⁉ 言われてみれば⋯⋯ボサボサの髪で隠れていたけれど、横顔のラインも柔らかそうな髪も朝みたのと同じ美しさだった。あの特徴的な手袋も。綺麗な、声も。

因縁の相手で⋯⋯って、今はそんなことどうでもいい。


少しの沈黙の後、真ん中にいた一番ガタイのいい、リーダーっぽい男が口を開いた。


「俺の彼女が、お前のこと好きになったって、ついさっき別れをきり出されたんだよ⋯⋯お前のせいだ‼」


男は苦しそうに言って、手を振り上げた。な、なぐろうと、してるんだっ⋯⋯。


浜辺が振り上げられた手をかばおうとする姿と、昔の私の姿が重なった。そして。




「―――やめてっ‼‼」




私はその人の腕を振り払い、浜辺の前にたつ。思った通り、その人は力が強くて、左手がじんじん痛んだ。