「おはようございます、蘭さん」
「僕みたいに喋るんじゃなかった?」
緑が感じられるカフェで姿勢を正す真希ちゃんから逸らさずにカフェラテを飲む。
淡い水色のワンピースに照明が反射しているイルカのネックレスがよく似合っている。
オレンジジュースを1口飲むと、耳まで真っ赤にしながら口を開いた。
「……すいません、なんか……恥ずかしくて」
「恥ずかしいかぁ〜可愛いね」
「サラッとそういうこと言う……はぁ、真面目に考えてた私が馬鹿みたい」
額に手をついてため息を吐く。
彼女の緊張を解せたみたいで良かった。
届いたパンケーキ真希ちゃんの口元へ運ぶ。
「なんですか?」
「あーんだよ。ほらほら」
不満気な表情を全面に押し出しながらも、甘い香りには抗えないみたいだった。
そのまま小さな口を開けて喉が上下する。
美味しいと小さな声で呟いた。
「ってか夏祭りの時は平気だったじゃん」
メープルシロップに浸してから生クリームをつける。
脳を溶かすほど甘い生地を口に入れた。
「あの時は暗かったから出来ただけ」
「まぁそういう事にしとくよ」
真希ちゃんはマスカットの乗ったパフェを掬って目の前に突き付けた。
「ほら、今度は私の番」
「ありがとう」
感謝を述べてから躊躇わずにいく。
彼女は普段通りを装っていたが耳が真っ赤である。
陽の光に照らされた真希ちゃんから視線を逸らさずに言葉を紡ぐ。
「映画楽しみだね」
「うん、まさか蘭くんが知ってるとは思わなかった」
ハハッと大人しく笑う。
実は二人でここにいるのは映画が始まるまでの暇つぶしだ。
原作が小説のミステリー作品。
真希ちゃんが読んでると知って、寝ぼけ眼を擦りながらも何とか読み終えた。
内容はちょっと曖昧だけども。
けど楽しそうにしているから慣れないことをしてまで頑張って良かったと思う。
「あっそういえば蘭くんがやってるゲームやったよ!面白いね!」
「えっ!?嘘マジで!?」
思わず目を見開く。
いかにも文学少女の雰囲気を醸し出している彼女からソシャゲの名前が出てくるとは解釈違いすぎる。
だがそこがいい。
これがいわゆるギャップ萌えと言うやつなのだろうか。
心臓が一気に跳ね上がった。
同じゲームを開いて、フレンドになる。
まさか好きな人と出来るなんて誰が思っただろうか。
「その……暇だったらさ一緒にやらない?」
「喜んで!」
真希ちゃんは一瞬口をきゅっと結んだが、またすぐに結ぶ前に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後ろら辺の真ん中の席。
買ったパンフレットを眺めながら隣に座る彼女の方に首を傾ける。
そんなことはお構い無しにポップコーンが吸い込まれていく。
キャラメルと塩のハーフアンドハーフを買った。
僕は塩で真希ちゃんがキャラメル。
サクサクと心地いい音が鳴る。
「楽しみだね!」
「そうだね」
いつもよりテンションの高い彼女が新鮮だ。
たまにある映画中にキスとかやったらこの子はどんな反応をするんだろう。
……多分怒るな。
だって本読んでる的に喋りかけたら待てって言われるもん。
そのぐらい集中してるんだし。
周囲が暗くなって始まる合図だと認識する。
これぐらいはいいだろうと、そっと手を重ねた。
ーー映画は結構面白かった。
解釈不一致ってことが少なくて、あったとしてもそういう表現にするのかと感心させられる。
演技力も申し分なかった。
特に主人公役の人がハマり役すぎて脳がビリビリと弾けたぐらいだ。
スタッフロールまでしっかり見てから立ち上がる。
人は少なくなっていた。
「行こうか」
「うん!」
弾んだ声は全く隠れていない。
可愛らしい声が鼓膜を揺らした。
「すっごい面白かった!!特に推理シーンの時にさ」
夢中になった真希ちゃんは周りが見えてなくて誰かとぶつかりそうになる。
グッと手首を引っ張ったらよろけて胸元に顔がすっぽり埋まってしまった。
「あっごめん!ぶつかりそうだったから……」
「いや、私が不注意だっただけで……ごめんなさい」
空気が澱んでいく。
彼女がこうなるのは理由があるのだろうか。
失敗した時にありえないほど落ち込む。
酷く怯えたように。
「大丈夫だよ。……ねぇ、真希ちゃん!お揃いのキーホルダーとか買わない?僕、真希ちゃんとお揃いだったら離れてても安心できるからさ!」
彼女より大きな掌で包み込む。
澱んだ空気が次第に晴れていく。
前髪に隠れている瞳が雫で潤んでいた。
さっきよりも優しく引っ張って歩みを進める。
その間なにか喋ろうかと思ったけど止めた。
真希ちゃんが自分から喋りたそうだったから。
緊張しながらふわふわとしたぬいぐるみのキーホルダーを手にする。
「可愛い」
「それにする?」
「うんっ!」
にっこりと柔らかな笑みを浮かべる。
あーもーほんっとうにかわいいな!!!!
この場でキスとかしちゃいたいぐらいだけど、嫌われそうだから我慢だ。
買ったキーホルダーを鞄につける。
僕は黒い猫で彼女は白い猫だ。
映画に出ていた主人公が飼っている猫。
それ以外に鈴とシャカシャカなるハートのカプセルが隣にいる。
映画館から出た後、近くのカフェに寄った。
学校では見ることの出来ないテンションの高い真希ちゃんに口元が綻ぶ。
女の子とのデートでこんなに楽しいのは初めてだ。
何がそんなに違うのだろう。
今までの子と変わらないはずなのに。
自分から惚れたからか?
「蘭くん、今日はありがとう」
月のように物静かだったクラスメイト。
ある日吹いた風でかかっていた雲が無くなって隠れていた部分が露わになった。
そういえば月下美人っていう花があったな。
すっかり元気なった彼女と手を振ってわかれた。
「じゃあね」じゃなくて「またね」と言って。
「僕みたいに喋るんじゃなかった?」
緑が感じられるカフェで姿勢を正す真希ちゃんから逸らさずにカフェラテを飲む。
淡い水色のワンピースに照明が反射しているイルカのネックレスがよく似合っている。
オレンジジュースを1口飲むと、耳まで真っ赤にしながら口を開いた。
「……すいません、なんか……恥ずかしくて」
「恥ずかしいかぁ〜可愛いね」
「サラッとそういうこと言う……はぁ、真面目に考えてた私が馬鹿みたい」
額に手をついてため息を吐く。
彼女の緊張を解せたみたいで良かった。
届いたパンケーキ真希ちゃんの口元へ運ぶ。
「なんですか?」
「あーんだよ。ほらほら」
不満気な表情を全面に押し出しながらも、甘い香りには抗えないみたいだった。
そのまま小さな口を開けて喉が上下する。
美味しいと小さな声で呟いた。
「ってか夏祭りの時は平気だったじゃん」
メープルシロップに浸してから生クリームをつける。
脳を溶かすほど甘い生地を口に入れた。
「あの時は暗かったから出来ただけ」
「まぁそういう事にしとくよ」
真希ちゃんはマスカットの乗ったパフェを掬って目の前に突き付けた。
「ほら、今度は私の番」
「ありがとう」
感謝を述べてから躊躇わずにいく。
彼女は普段通りを装っていたが耳が真っ赤である。
陽の光に照らされた真希ちゃんから視線を逸らさずに言葉を紡ぐ。
「映画楽しみだね」
「うん、まさか蘭くんが知ってるとは思わなかった」
ハハッと大人しく笑う。
実は二人でここにいるのは映画が始まるまでの暇つぶしだ。
原作が小説のミステリー作品。
真希ちゃんが読んでると知って、寝ぼけ眼を擦りながらも何とか読み終えた。
内容はちょっと曖昧だけども。
けど楽しそうにしているから慣れないことをしてまで頑張って良かったと思う。
「あっそういえば蘭くんがやってるゲームやったよ!面白いね!」
「えっ!?嘘マジで!?」
思わず目を見開く。
いかにも文学少女の雰囲気を醸し出している彼女からソシャゲの名前が出てくるとは解釈違いすぎる。
だがそこがいい。
これがいわゆるギャップ萌えと言うやつなのだろうか。
心臓が一気に跳ね上がった。
同じゲームを開いて、フレンドになる。
まさか好きな人と出来るなんて誰が思っただろうか。
「その……暇だったらさ一緒にやらない?」
「喜んで!」
真希ちゃんは一瞬口をきゅっと結んだが、またすぐに結ぶ前に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後ろら辺の真ん中の席。
買ったパンフレットを眺めながら隣に座る彼女の方に首を傾ける。
そんなことはお構い無しにポップコーンが吸い込まれていく。
キャラメルと塩のハーフアンドハーフを買った。
僕は塩で真希ちゃんがキャラメル。
サクサクと心地いい音が鳴る。
「楽しみだね!」
「そうだね」
いつもよりテンションの高い彼女が新鮮だ。
たまにある映画中にキスとかやったらこの子はどんな反応をするんだろう。
……多分怒るな。
だって本読んでる的に喋りかけたら待てって言われるもん。
そのぐらい集中してるんだし。
周囲が暗くなって始まる合図だと認識する。
これぐらいはいいだろうと、そっと手を重ねた。
ーー映画は結構面白かった。
解釈不一致ってことが少なくて、あったとしてもそういう表現にするのかと感心させられる。
演技力も申し分なかった。
特に主人公役の人がハマり役すぎて脳がビリビリと弾けたぐらいだ。
スタッフロールまでしっかり見てから立ち上がる。
人は少なくなっていた。
「行こうか」
「うん!」
弾んだ声は全く隠れていない。
可愛らしい声が鼓膜を揺らした。
「すっごい面白かった!!特に推理シーンの時にさ」
夢中になった真希ちゃんは周りが見えてなくて誰かとぶつかりそうになる。
グッと手首を引っ張ったらよろけて胸元に顔がすっぽり埋まってしまった。
「あっごめん!ぶつかりそうだったから……」
「いや、私が不注意だっただけで……ごめんなさい」
空気が澱んでいく。
彼女がこうなるのは理由があるのだろうか。
失敗した時にありえないほど落ち込む。
酷く怯えたように。
「大丈夫だよ。……ねぇ、真希ちゃん!お揃いのキーホルダーとか買わない?僕、真希ちゃんとお揃いだったら離れてても安心できるからさ!」
彼女より大きな掌で包み込む。
澱んだ空気が次第に晴れていく。
前髪に隠れている瞳が雫で潤んでいた。
さっきよりも優しく引っ張って歩みを進める。
その間なにか喋ろうかと思ったけど止めた。
真希ちゃんが自分から喋りたそうだったから。
緊張しながらふわふわとしたぬいぐるみのキーホルダーを手にする。
「可愛い」
「それにする?」
「うんっ!」
にっこりと柔らかな笑みを浮かべる。
あーもーほんっとうにかわいいな!!!!
この場でキスとかしちゃいたいぐらいだけど、嫌われそうだから我慢だ。
買ったキーホルダーを鞄につける。
僕は黒い猫で彼女は白い猫だ。
映画に出ていた主人公が飼っている猫。
それ以外に鈴とシャカシャカなるハートのカプセルが隣にいる。
映画館から出た後、近くのカフェに寄った。
学校では見ることの出来ないテンションの高い真希ちゃんに口元が綻ぶ。
女の子とのデートでこんなに楽しいのは初めてだ。
何がそんなに違うのだろう。
今までの子と変わらないはずなのに。
自分から惚れたからか?
「蘭くん、今日はありがとう」
月のように物静かだったクラスメイト。
ある日吹いた風でかかっていた雲が無くなって隠れていた部分が露わになった。
そういえば月下美人っていう花があったな。
すっかり元気なった彼女と手を振ってわかれた。
「じゃあね」じゃなくて「またね」と言って。

