下駄箱の中にラブレターが入っていた。
お願いだから宛名を書いて欲しいなと思う。
……どうしようかな。
行って断った方がいいんだけど、よく漫画とかであるじゃん。
好きな人が見てて誤解してみたいな展開。
そんなことになったら嫌だ。
ってかまだ付き合ってすらないんだけど。
ってか両思いと決まったわけですらないんだけど!
「ラブレターか。どこに呼び出されたんだ?」
実鳥が背中をバシッと叩いてきた。
さすが運動部、痛ってぇ。
「行った方がいい?」
「誠実なやつは行くんじゃないか?」
「だよなぁ」
封筒を開けると可愛らしい便箋が見えた。
そこには中庭に来て欲しいと書かれている。
中庭か。
うちの教室から見えるかな……。
カーテン閉めれば。
チャイムが鳴る。
「やっべ、遅刻になるぞ!」
グイッと腕を引かれて僕の思考は断線した。
途中つまづきながらも何とか教室に辿り着く。
自分の席に鞄を勢いよく乗せると息を吐き出す。
「おはようございます」
「っ!おはよう!」
まさか声をかけられるとは思わなかったからびっくりした。
挨拶をする為だけに向かれた顔はゆっくりと本へと視線が移る。
「それ、なんの本?」
「ミステリーです。謎解きが好きで」
昨日のことで少し距離が縮まったかもしれない。
だってちょっと声が楽しそうだもん!
「僕は冒険小説が好きかな」
「冒険ですか、私も好きですよ」
あっ八重歯。
勝手に全部同じだと思ってた。
「一緒だね」とだけ言ってスマホを触る。
カメラアプリを起動して真希ちゃんを映す。
カシャッとシャッター音が鳴った。
「勝手に撮るなんて……って言いたいところですけど」
「言えないねぇ」
クスッと笑ってしまった。
昨日のことを鮮明に思い出す。
授業中はあんまり喋らない。
彼女が真面目だからって言うのもあるけど、2人の時間はゆっくり話したいから。
そのまま日は過ぎて昼時。
真希ちゃんは掃除当番でさっさといなくなってしまった。
「行ってくるかぁ」
軽い鞄を肩に乗せる。
「行ってら〜」
「実鳥は今日もデート?」
「いや、部活」
スンっとした顔で言われる。
このクソ暑い中体育館でバスケとは可哀想に。
僕はこれが原因で運動部には入っていない。
夏は涼しく、冬は暖かくがもっとーだ。
幼馴染とちょっとだけ話してから中庭に行く。
そこには既に人がいた。
「あっ胡蝶くん!」
可愛らしい走り方でこっちに寄ってくる。
歴代彼女に2、3人ぐらい居た可愛い系。
「手紙、呼んでくれてありがとぉ」
「こちらこそ、それで用件はなにかな?」
なるべく早く終わらせてこの場を去りたい。
甘ったるい声が僕の名前を呼んだ。
「もう分かってるくせに……蘭くん!私と付き合って!」
「ごめんなさい」
初めて断った。
目の前の女子はびっくりしている。
だって僕は告白を断らないことでちょっと有名だから。
「君にはもっと素敵な人がいるよ。じゃあまた」
「待って!!」
身を翻して帰ろうと思ったら手を掴まれた。
そしてぎゅっと抱き着かれる。
やばい悪寒が。
「なんでぇ?姫芽のこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ。ただ最近好きな人が出来たから」
「好きな人?」
意外にもパッと離してくれた。
大きな瞳が真剣さを含んだ色に変わる。
「誰が好きなの?」
「同じクラスの真希ちゃん」
「あぁ!まっきー!」
……まっきー?
聞き慣れない呼び名でこっちがびっくりする。
「え、知り合い?」
「友達!まじか〜ってか応援する!」
「ちょっと待ってキャラ変わりすぎじゃない!?」
急なことで頭が追いつかないでいる。
詳しく聞くと彼女は隣のクラスの蛇目姫芽と言うらしく、顔の良い男子には片っ端から付き合って飽きたら振っているらしい真希ちゃんが仲良くしなさそうな女子だ。
で、さっきの甘ったるい声や仕草は落とすために使っているらしい。
いやまじでどこ繋がり!?
開いた口が塞がらない。
「普段はこんな感じだからよろ〜!で、どこまでいってんの?」
「昨日デートした」
自信満々にピースサインを作る。
僕と似てる女子に慣れるしかないな。
息を吸う。
「次は何したらいいと思う?」
一瞬実鳥の顔が頭に思い浮かんだが、まぁいいやと目の前のことに集中する。
顎に手を添えてからパチンっと指を鳴らす。
「夏休みに入るってことは、夏祭りにプールにイベント事一緒にやるっきゃないっしょ!」
「そーだそーだ!!」
「うおっ!?」
いきなり草むらから実鳥が出てきた。
びっくりして口から心臓が飛び出るかと思った。
「俺の幼馴染にナンパすんなよな〜ったく……」
「だって告る前にみーくんと付き合ったからさぁ」
「浮気は許さないから、よっ蘭」
「1から説明しろ2人とも」
恐らく恋人同士の彼らはどこから話そうか悩んでる様子。
あーでもないこーでもないと言いながら漸くまとまったみたいだ。
蝉が鳴いている。
「実はみーくんからそうだん受けてて、キミに会うついでにまだ告ってなかったなーと思ってね」
「もし僕がいいよって言ってたらどうするつもりだったんだよ……」
「えっ?嘘つき!本当は好きな子居るくせにっ!!!で、泣いて走り出す」
自分とはまた違うタイプのモテ女に思考がショートしかける。
はたして実鳥はこんな性格の子が好きだっただろうか。
チラリと見ると照れたのか頭をかいている。
「いや〜俺さ人形みたいな人好きって言ったじゃん?まさになんだよね。まぁ今はそれ以外もあるけど」
「なるほど」
これ以外に良い相槌が思いつかなかった。
確かに姫芽は目が大きくて陶器のように肌荒れもしていない。
背後から誰か近づいてくるのが分かった。
バット振り返ると真希ちゃんがビクッと肩を上がらせる。
「こんな所で何してるんですか?」
「えっと〜その〜」
お茶を濁そうとすると姫芽が声をかけてきた。
僕は正直変なことは言わないでくれと願っていた。
「夏休みさ!皆で夏祭り行かない?後プールも!」
「いいですよ」
「いいの!?」
「……やっぱり行か」
「行こう行こう!」
発言を取り消そうとする彼女の言葉を遮って約束を取り付ける。
ラッキーなことこの上ないが、心臓がバクバクとうるさすぎて破裂するんじゃないかと思った。
にしても真希ちゃんの浴衣姿かぁ……。
絶対可愛いんだろうな。
ふふっとつい音を発してしまう。
それに彼女は不思議がるように頭を傾けた。
お願いだから宛名を書いて欲しいなと思う。
……どうしようかな。
行って断った方がいいんだけど、よく漫画とかであるじゃん。
好きな人が見てて誤解してみたいな展開。
そんなことになったら嫌だ。
ってかまだ付き合ってすらないんだけど。
ってか両思いと決まったわけですらないんだけど!
「ラブレターか。どこに呼び出されたんだ?」
実鳥が背中をバシッと叩いてきた。
さすが運動部、痛ってぇ。
「行った方がいい?」
「誠実なやつは行くんじゃないか?」
「だよなぁ」
封筒を開けると可愛らしい便箋が見えた。
そこには中庭に来て欲しいと書かれている。
中庭か。
うちの教室から見えるかな……。
カーテン閉めれば。
チャイムが鳴る。
「やっべ、遅刻になるぞ!」
グイッと腕を引かれて僕の思考は断線した。
途中つまづきながらも何とか教室に辿り着く。
自分の席に鞄を勢いよく乗せると息を吐き出す。
「おはようございます」
「っ!おはよう!」
まさか声をかけられるとは思わなかったからびっくりした。
挨拶をする為だけに向かれた顔はゆっくりと本へと視線が移る。
「それ、なんの本?」
「ミステリーです。謎解きが好きで」
昨日のことで少し距離が縮まったかもしれない。
だってちょっと声が楽しそうだもん!
「僕は冒険小説が好きかな」
「冒険ですか、私も好きですよ」
あっ八重歯。
勝手に全部同じだと思ってた。
「一緒だね」とだけ言ってスマホを触る。
カメラアプリを起動して真希ちゃんを映す。
カシャッとシャッター音が鳴った。
「勝手に撮るなんて……って言いたいところですけど」
「言えないねぇ」
クスッと笑ってしまった。
昨日のことを鮮明に思い出す。
授業中はあんまり喋らない。
彼女が真面目だからって言うのもあるけど、2人の時間はゆっくり話したいから。
そのまま日は過ぎて昼時。
真希ちゃんは掃除当番でさっさといなくなってしまった。
「行ってくるかぁ」
軽い鞄を肩に乗せる。
「行ってら〜」
「実鳥は今日もデート?」
「いや、部活」
スンっとした顔で言われる。
このクソ暑い中体育館でバスケとは可哀想に。
僕はこれが原因で運動部には入っていない。
夏は涼しく、冬は暖かくがもっとーだ。
幼馴染とちょっとだけ話してから中庭に行く。
そこには既に人がいた。
「あっ胡蝶くん!」
可愛らしい走り方でこっちに寄ってくる。
歴代彼女に2、3人ぐらい居た可愛い系。
「手紙、呼んでくれてありがとぉ」
「こちらこそ、それで用件はなにかな?」
なるべく早く終わらせてこの場を去りたい。
甘ったるい声が僕の名前を呼んだ。
「もう分かってるくせに……蘭くん!私と付き合って!」
「ごめんなさい」
初めて断った。
目の前の女子はびっくりしている。
だって僕は告白を断らないことでちょっと有名だから。
「君にはもっと素敵な人がいるよ。じゃあまた」
「待って!!」
身を翻して帰ろうと思ったら手を掴まれた。
そしてぎゅっと抱き着かれる。
やばい悪寒が。
「なんでぇ?姫芽のこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ。ただ最近好きな人が出来たから」
「好きな人?」
意外にもパッと離してくれた。
大きな瞳が真剣さを含んだ色に変わる。
「誰が好きなの?」
「同じクラスの真希ちゃん」
「あぁ!まっきー!」
……まっきー?
聞き慣れない呼び名でこっちがびっくりする。
「え、知り合い?」
「友達!まじか〜ってか応援する!」
「ちょっと待ってキャラ変わりすぎじゃない!?」
急なことで頭が追いつかないでいる。
詳しく聞くと彼女は隣のクラスの蛇目姫芽と言うらしく、顔の良い男子には片っ端から付き合って飽きたら振っているらしい真希ちゃんが仲良くしなさそうな女子だ。
で、さっきの甘ったるい声や仕草は落とすために使っているらしい。
いやまじでどこ繋がり!?
開いた口が塞がらない。
「普段はこんな感じだからよろ〜!で、どこまでいってんの?」
「昨日デートした」
自信満々にピースサインを作る。
僕と似てる女子に慣れるしかないな。
息を吸う。
「次は何したらいいと思う?」
一瞬実鳥の顔が頭に思い浮かんだが、まぁいいやと目の前のことに集中する。
顎に手を添えてからパチンっと指を鳴らす。
「夏休みに入るってことは、夏祭りにプールにイベント事一緒にやるっきゃないっしょ!」
「そーだそーだ!!」
「うおっ!?」
いきなり草むらから実鳥が出てきた。
びっくりして口から心臓が飛び出るかと思った。
「俺の幼馴染にナンパすんなよな〜ったく……」
「だって告る前にみーくんと付き合ったからさぁ」
「浮気は許さないから、よっ蘭」
「1から説明しろ2人とも」
恐らく恋人同士の彼らはどこから話そうか悩んでる様子。
あーでもないこーでもないと言いながら漸くまとまったみたいだ。
蝉が鳴いている。
「実はみーくんからそうだん受けてて、キミに会うついでにまだ告ってなかったなーと思ってね」
「もし僕がいいよって言ってたらどうするつもりだったんだよ……」
「えっ?嘘つき!本当は好きな子居るくせにっ!!!で、泣いて走り出す」
自分とはまた違うタイプのモテ女に思考がショートしかける。
はたして実鳥はこんな性格の子が好きだっただろうか。
チラリと見ると照れたのか頭をかいている。
「いや〜俺さ人形みたいな人好きって言ったじゃん?まさになんだよね。まぁ今はそれ以外もあるけど」
「なるほど」
これ以外に良い相槌が思いつかなかった。
確かに姫芽は目が大きくて陶器のように肌荒れもしていない。
背後から誰か近づいてくるのが分かった。
バット振り返ると真希ちゃんがビクッと肩を上がらせる。
「こんな所で何してるんですか?」
「えっと〜その〜」
お茶を濁そうとすると姫芽が声をかけてきた。
僕は正直変なことは言わないでくれと願っていた。
「夏休みさ!皆で夏祭り行かない?後プールも!」
「いいですよ」
「いいの!?」
「……やっぱり行か」
「行こう行こう!」
発言を取り消そうとする彼女の言葉を遮って約束を取り付ける。
ラッキーなことこの上ないが、心臓がバクバクとうるさすぎて破裂するんじゃないかと思った。
にしても真希ちゃんの浴衣姿かぁ……。
絶対可愛いんだろうな。
ふふっとつい音を発してしまう。
それに彼女は不思議がるように頭を傾けた。

