まっすぐで、輝け。

STEP9
ゆうやくんに手を引かれ、げた箱の前で手が離れた。



そして、
「櫻公園、行こ。」
と、ゆうやくんに真顔で言われた。


「うん…」


そこから、話すことがたくさんあるはずなのに、何も話せず、聞けず。

無言が続く。



本当はいっぱい話したい。聞きたい。
サッカーの試合、かっこよかったよ。
上手く関われなくてごめんなさい
でも,好きなのは全然変わってないよ、
ただ、私が恥ずかしくて、付き合う前より緊張してる。

考えれば考えるほど、言いたいことは出てくるけど、伝える勇気が出ない。


あーあ、勇気が欲しいよ。

「………」



櫻公園に向かうまでに、夕日はどんどん沈んでゆく。

赤く染まった空も、紺色へと移り変わっていく。


そして、空が暗くなった頃、私たちは櫻公園に着いた。

「……」


さすがに、暗い公園に子どもたちはいない。
広場はがらんと空いている。



すると、ゆうやくんは袋からサッカーボールを取り出す。



「……」


無言のまま、ボールを私の方へ向けて転がす。



ボールが私の足元へ届く。



「っ…」


思わず、反射的にゆうやくんにボールをパスする。



にやっ。


ゆうやくんの口角が上がったような気がした。



どきん。


あ、笑った…。


きゅうううっ。
胸がいっぱいになる。




「やっぱり、黒澤さんのパスは優しいよな」
ゆうやくんが突然言う。



「え」


「僕に向かって、まっすぐ、取りやすい位置にちゃんと転がしてくれる。」



「そ、それは…ゆうやくんが教えてくれたんだよ」



あれ、私、気づけばゆうやくんと会話できてる…



「私、ゆうやくんにいっぱい助けてもらって、本当に感謝しきれないんだよ…。なのに、なのに、私は、、最近の私はーーーーゆうやくんのこと、たくさん傷つけた。」


あれ、さっきまで話せなかったのに、今は、言葉を止められない。


「好きなのに、好きな人も好きでいてくれてるのに、緊張して、恥ずかしくなって…ドキドキしすぎて、どんどん話せなくなって…本当は、話したいし、一緒にいたいのに…私が全部悪くて、ゆうやくんは全然悪くないから…!!」


…あー、言っちゃった。

顔なんて見れない。こんなこと伝えてドン引きされてるだろう…。





「……」

あ、無言だ…終わったーーーー



恐る恐る顔を上げるとーーー



「!??」



そこには、真っ赤な顔のゆうやくん。



「……っ!??」

私にもその赤面が移る。


「黒澤さんっ…、それってさ…」


ばちっ。


目が合う。


「…今まで耐えてたんだけど…」


ボールがとまる。

こっちに向かって歩いてくるゆうやくん。


距離が縮まる。



私もゆうやくんに歩み寄る。
足が勝手に動いてしまう。


触れられる距離まで近づく。


「いや、あの、突然キスしたから…その、びっくりさせてごめん。もうあんなことはしないと決めて、大切にしようと思ってた。でも、やっぱり目が合うと、どうにかしちゃいそうで。」


ゆうやくんは私の目を離さない。



「好きすぎて、引かれてると思ってた。でもーーさっきの言葉、信じていいのならーー」


ゆうやくんの顔が近づく

耳元で
「キスするけど」


「えっ!!?」


思わず叫んじゃった…でも…


「うん…」


私も…同じだ。


「………」

ゆうやくんの手が私の顎を持ち上げる。


顔が近づく

このままーーーー…






ガサガサッ

「!??」

急に近くの草むらが揺れる


ゆうやくんが突然怪訝な顔になる。


その草むらに近づくと


「おい。お前ら…いつからここに…」
ゆうやくんが怒りを隠せない。

サッカー部の子が何人かいた…


「いやぁー、あー…あは、あははは…!!」

「笑って誤魔化すな!」


「もうちょっとでいいとこ見れたのにーーくそーーー」


「お前らの邪魔がなければ…」
ゆうやくんはぐっとイライラを抑えてる…



なんだかそれが可愛くて、おかしくて


私は笑顔になってしまう。



その笑顔を見たゆうやくん。


こっちに帰ってきてくれた。

そして小声で
「黒澤さん、あのさ…。今度は誰にも邪魔されないところで、続き…してもいい?」


「!?」


「…う、ん」



ニヤッとしたゆうやくん。




どきっ。




ゆうやくんの笑顔は、いつ見てもドキドキする。


ドキドキさせられてばっかりだ。