Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する

旬はすぐには触れない。

向かい合う。

その距離が、逆に熱を帯びる。

「希」

低く、やさしく。

「うん」

「後悔させない」

迷いのない言葉。

希は小さく笑う。

「してないよ、もう」

その一言に、旬の目が揺れる。

そっと頬にキス。
まぶたに。
鼻先に。

そして、唇へ。

急がない。

確かめるみたいに、丁寧に。

希の手が、旬のシャツを掴む。

ぎゅっと。

「好き」

希の声は、震えていない。

「うん」

「本当に好き」

旬は額を合わせる。

「愛してる」

静かな部屋。

カーテン越しの星明かりが、淡くふたりを照らす。

キスは少し深くなる。
でも衝動ではない。

選んだ人と、
選ばれた夜。

希の小さな震えは、恐怖ではない。

新しい一歩の前の、確かな鼓動。

旬はその震えごと抱きしめる。

「大丈夫」

耳元で囁く。

「俺がいる」

希は目を閉じる。

腕を回す。

逃げない。

この人を選んだ。

静かに、ゆっくりと。

ふたりはベッドへと身を預ける。

外では星が、変わらず輝いている。

夜は長く、やさしい。

そしてその夜は、
ふたりの未来へと静かにつながっていく。