Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する

しばらく、二人は動かなかった。

希は旬の胸にもたれたまま。
旬はその髪に頬を寄せたまま。

窓の外では、星が瞬いている。
時計の針が、小さく夜を進める。

静かな部屋。
重なった呼吸だけが、確かにそこにあった。

旬がそっと言う。

「眠い?」

希は胸に額を預けたまま、首を横に振る。

「ううん」

声はやわらかい。
安心に包まれた音。

旬は希の頬に手を添える。
指先があたたかい。

「ベッド、行こうか」

急かさない。
確かめるような声音。

希の喉が小さく鳴る。

怖いわけじゃない。
逃げたいわけでもない。

ただ——

大事にしたい。

自分も。
旬も。
この時間も。

希はゆっくり頷く。

旬が立ち上がり、手を差し出す。

希はその手を取る。

立ち上がる瞬間、
指が自然と強く絡む。

ベッドまでの距離は、ほんの数歩。

なのに、胸の鼓動が長く伸びる。

白いシーツが、静かに待っている。