Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する

希の目に、また涙が浮かぶ。

「特別な日にしようと思ってたんだ」

旬は少し照れたように笑う。

「ちゃんと」

告白も、これからのことも。

きちんとした日にしようと、決めていた。

だから焦らなかった。

でも、そのせいで不安にさせた。

希はもう、涙を隠さない。

ぽろぽろ落ちる。

旬が呆れたように、でも愛しそうに言う。

「すぐ泣く」

そう言いながら、また抱きしめる。

今度は、さっきよりも強く。

東京タワーの光が、二人を照らしている。

終わるはずだった夜は、

いつのまにか、

始まりの夜に変わっていた。

「泣きすぎ」

旬は少し呆れたように笑いながら、もう一度希を抱き寄せた。

ほんの一時間前。

Nocturneで終わらせるつもりだった夜が、まさかこんなふうに変わるなんて、希は想像もしていなかった。

部屋の灯りは落としてある。