Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する

駐車場へ戻る頃には、二人の間にあった微妙な距離は消えていた。

希は並んで歩く二人の背中を見て、思わず笑う。

「あ……めちゃくちゃ仲良くなってる」

旬が車のドアを開けながら言う。

「いいお父さんだね」

「でしょ?」

誇らしそうな希。

エンジンがかかる。

だが、希の胸には次の不安が浮かぶ。

「今度は……うちの親を、あの厳格な佐伯家に紹介するのか」

ぽつりと呟く。

旬はハンドルを握ったまま、柔らかく笑う。

「大丈夫だよ。俺と一緒なら」

その一言は、朝よりもずっと頼もしかった。

希は深呼吸する。

「でも……ドキドキする」

旬は片手を伸ばし、そっと希の指を握る。

「試練なら、二人で受ければいい」

青空の下を、車はゆっくりと走り出す。

家族の愛情。
恋人の覚悟。

それぞれの想いが重なり合いながら、
二人の物語は、また一歩、前へ進んでいく。